オープンソースソフトウェア(OSS)というと、Linuxをはじめとしてサーバ系ソフトの動きに目が行きがちだ。しかし、OSSはもちろん、クライアントPC(デスクトップ)系ソフトにもある。その代表格が、オフィスソフト「Microsoft Office」の対抗馬となりつつあると言える「OpenOffice.org」だ。
独立系ソフトベンダー大手のアシストでは、そのOpenOffice.orgの「支援サービス」を6月から提供している。このサービスは(1)OpenOffice.orgへの導入・移行実現に関する評価を支援する「診断(アセスメント)サービス」、(2)導入・移行に向けた作業計画立案を支援する「導入・移行支援サービス」、(3)Microsoft OfficeからOpenOffice.orgへの移行に焦点を当てた研修サービス、(4)FAQやTips、新バージョンやパッチなどの情報提供と専任スタッフによる電話やメール、ウェブでの回数上限なしのヘルプデスク・サービス――の4つからなっており、それぞれ単体のサービスとしても提供が受けられる。
700台をOpenOffice.orgに置き換え
同社の今回のサービスで注目すべきは、提供するにあたり同社内でMicrosoft OfficeからOpenOffice.orgへの移行を実施しているという点にある。同社にはクライアントPCが約1100台あるが、そのうちおよそ700台を、この1月にOpenOffice.orgに置き換えているのである。
同社でOpenOffice.org関連サービスを担当する、支援統括部長の神谷昌直氏は、「アシストには、自分たちで使っていないものをお客様には提供できないと経営者の方針があって、今回もその方針に従った」ものと説明している。今回のOpenOffice.orgへの移行も特別というわけではなく、「Oracle Database」(Oracle DB)やビジネスインテリジェンス(BI)ツールの「WebFOCUS」、営業支援(SFA)系ツール「ウェブハロー」や統合運用管理ツール「JP1」も、社内で実際に運用しているという。
移行作業を開始したのは2006年9月。この時は、OpenOffice.orgに移行するにあたり、まずは社内のMicrosoft Officeなどを含めたデスクトップの資産がどうなっているか現状を調査した。
この調査では、全社対象にしてそれぞれの部門でMicrosoft Officeが具体的にどのように使われているのか、また、基幹系や情報系などのサーバシステムとどのように連携しているのかなどの利用実態やMicrosoft Officeのライセンスの保持状況や契約形態、などを調べている。また、並行して本社の営業や事務、技術の各部門と段階的にOpenOffice.orgを導入し試用を開始し、利用していく上で機能面や操作性においての課題の洗い出しを行った。
課題を洗い出した後で神谷氏を中心としたグループでは、移行する際にどのような対策を取っていけばいいのかを、11月から12月にかけて検討を行っている。そして検討し終えた後の2006年末から年明けの1月にかけて、約700台を対象にした実際の移行作業を展開している。