ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は、ビジネスソフトウェアの著作権を尊重する教育や啓発活動を通じて、知的財産の保護、活用に関する政策提言や違法コピー情報の収集、調査、分析による権利保護の支援を目的に、1988年に米国で設立された非営利団体である。
世界80カ所以上の国や地域で活動し、メンバー企業にはマイクロソフトやIBM、SAP、ヒューレット・パッカード(HP)、シマンテック、アドビシステムズ、シスコシステムズなどのIT企業も名を連ねる。日本での活動は1992年に開始した。
このほど、BSAでアジア太平洋地域の海賊版対策シニアディレクターを務めるTarun Sawney氏が来日し、ZDNet Japanのインタビューに答えた。
説明責任のない場面で人は法を軽視する
-BSAの目的と、あなたの役割について教えてください。
BSAは、ビジネスソフトウェアの利用環境に関し公平な土俵を作ることで、投資とイノベーションが促進されるようにしたいと考えています。海賊版が蔓延し、荒れ果て、希望が失われた世界ではなく、ソフトウェアを作るエンジニアやクリエイターたちが、自分たちのソフトウェアには公平で有望な市場があるという確信を抱いて欲しいためです。
ただ残念ながら、自ら説明責任のない場面で人は法を軽視する傾向が少なからず存在します。そのため、違反行為を行っている人物や企業に対して違反行為を変えてもらうためのアクションをとっているのが現状です。
私自身は、英国ロンドン市首都警察(London Metropolitan Police)や香港皇家警察(Royal Hong Kong Police)のキャリアを経て、2001年からBSAの海賊版対策ディレクターとして就任しました。現在は、アジア太平洋地域において、ソフトウェアの海賊版対策キャンペーンやソフトウェア業界の知的財産権保護、啓蒙活動を通じ、政府関係機関への提案やトレーニングの提供を行っています。
日本における違法コピー率は世界で2番目に低いが……
-アジア太平洋地域での違法コピー利用状況はこの数年でどのように推移しているのでしょうか。
BSAが2009年5月に発表した、世界全体のパーソナルコンピュータ用ソフトウェアの違法コピーに関する「第6回BSA-IDC世界ソフトウェア 2008 違法コピー調査」では、アジア太平洋地域での違法コピー率は、2007年の59%から2008年には61%へと上昇しました。
日本の2008年の違法コピー率は、前年比2ポイント減の21%となり、米国に次いで世界で2番目に低い結果となりました。しかし、損害額は約15億ドルとワースト10に位置しています。一方、中国やインドでも違法コピー率は低下しましたが、PC出荷数が25%増を記録したため、最終的には地域別の平均を押し上げる結果となりました。