Linuxはあらゆるところで利用されている。これには自動車も含まれる。
大手自動車メーカーらが参加するプロジェクトAutomotive Grade Linux(AGL)は、米国で開催中のCESで、Mercedes-Benzの親会社であるDaimlerが同プロジェクトに参加したと発表した。参加している自動車メーカーにはトヨタ自動車、マツダ、スズキ、本田技研工業、日産自動車、Fordなどが含まれており、Daimlerも新たにメンバーに加わる。
インフォテインメントシステムや自動運転機能を持つスマートカーが進展するに従って、自動車メーカーはソフトウェア企業としての性格も持つようになってきている。AGLのエグゼクティブディレクターDan Cauchy氏は、声明の中で「自動車メーカーはソフトウェア企業になってきており、テクノロジ業界の企業と同じように、今後はオープンソースの道に進むべきであることを理解している」と述べている。
最近まで、多くの自動車メーカーはインフォテインメントシステムに独自のOSを使用し、プログラミングを独立系ソフトウェア企業に外注していた。その結果、コードは移植性や再利用性に乏しいものとなっていた。
AGLのメンバーは、オープンソース化したソフトウェアスタックを共有すれば、コードの再利用性が高まり、開発プロセスを効率化できると考えている。同時に、独立系ソフトウェア企業は、自動車のモデルごとに異なるバージョンのシステムを構築する必要がなくなる。
AGLはすでに、最先端のインフォテインメントシステムを開発しており、AGL Unified Code Base(UCB)3.0を最近リリースした。UCBの目標は、自動車のインフォテインメントシステムの7~8割を提供し、各社が残り2~3割をカスタマイズして顧客のニーズに対応することに集中できる環境を作ることだ。
またAGLは今後、ヘッドアップディスプレイや、ネットワーク接続された自動車、先進運転支援システム(ADAS)、機能安全、自動運転などにも対応する予定だという。
自動車でLinuxを活用しようとしている団体はAGLだけではない。Ford、トヨタ自動車、マツダ、スズキなどが参加するSmartDeviceLink(SDL)コンソーシアムは、スマートフォンと自動車を連携させるためのオープンソースソフトウェアに取り組んでいる。また、GoogleとFiat Chryslerは、CESで「Chrysler 300」のセダンに組み込んだAndroidベースのインフォテインメントシステムのコンセプトを披露した。また、Androidプラットフォームを自動車にもたらすことを目指すOpen Automotive Allianceのメンバーには、Accura、Audi、Cadillac、Ford、GMC、本田技研工業、Hyndaiなどが含まれている。
そして、自動車のイノベーションと言えば忘れてはならないのはTeslaだ。同社は、電気自動車内でUbuntu Linuxをカスタマイズしたビルドを使用しているとされる。
Linuxを自動車でどのように利用するかは、メーカーによってかなり異なっている。しかし、ほぼすべての大手自動車メーカーが、何らかの形でLinuxを自動車に組み込もうとしていることは確かだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。