日本IBM、SOA対応の開発ツールを発表--SOAの開発手法も公開

藤本京子(編集部) 2006年12月12日 19時50分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 日本IBMは12月12日、ソフトウェア開発ツールの新バージョン「IBM Rational Software Delivery Platform V7.0」(SDP V7)を発表した。新バージョンでは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づくアプリケーションの設計と開発機能を強化した。

 日本IBM ソフトウェア事業 Rational事業部 プロダクトマネージャーの渡辺隆氏は、日米におけるSOA導入の実態について「(Evans Dataの調査によると)米国では50%の企業が導入済みか2年以内に導入するとしているのに対し、(IDC Japanの調査では)同様の回答をした日本企業は15%に過ぎない」と指摘する。その原因として渡辺氏は、「日本ではSOAが概念としてしか受け止められておらず、実際にどうすれば実現できるのかわからない、投資効果が見えないという声が多い」としており、「SOAのアーキテクチャを設計するためのツールと具体的手法が必要だ」と述べている。

渡辺隆氏 日本IBM ソフトウェア事業 Rational事業部 プロダクトマネージャーの渡辺隆氏

 SDP V7は、EA(エンタープライズアーキテクチャ)をサポートし、企業戦略の記述を含むIT資産の全体像を可視化する。また、UMLを拡張することでSOAの設計標準要素を提供し、WSDL(Web Services Description Language)をモデリングできる機能が備わっている。

 さらに、モデルとコードに不整合が生じないよう、コードを生成した際にリバースエンジニアリングでモデルとコードを比較、統合し、設計と実装の一貫性を管理する。「システムの大規模化において、設計図のメンテナンスは不可欠だ」と渡辺氏は言う。

 ガートナージャパン ガートナーリサーチソフトウェアグループ アプリケーション統合&Webサービス担当 リサーチディレクターの飯島公彦氏はSDP V7について、「UMLやRationalのツールを利用していた開発者がSOAに取り組む上での具体的な足掛かりとなる」としている。「SOAでアーキテクチャを構築できるというだけでなく、このツールによってモデルとコードのリバースエンジニアリングを必要な時に必要な箇所に部分的に実施できるようになったことに意味がある。アーキテクチャを維持するための作業はこれまで手作業だったが、こうしたツールが登場したことは、望ましいアーキテクチャを継続し進化させるための重要なステップとなるし、IBMにとっての差別化要因ともなるだろう」(飯島氏)

SOAの開発手法も提供

 IBMでは、5月よりSOAを活用する際の変更管理やセキュリティなどを全社レベルで統治するためのガバナンス手法「IBM Rational Method for SOA Governance」を提供しているが、これに加えて新たにSOAの設計手法や開発手順の具体例を「Ratioal Unified Process for Service-Oriented Modeling and Architecture」(RUP for SOMA)として発表した。

 通常SOAの設計手法は、ITコンサルティングを提供する企業の知的財産として蓄積されるため、社外に公開されることは少ないが、IBMはSOAを普及させるためにも公開することにした。Rational Unified Process(RUP)ユーザーであれば、IBMの開発者向けページ「developerWorks」より無償でダウンロードできる。

 さらにIBMは、オープンソースソフトウェア(OSS)の普及を支援するため、オープンソースの開発環境「Eclipse」の有償サポートプログラム「Rational Eilte Support for Eclipse」を12月6日より提供開始した。渡辺氏は、「OSSの課題としてよく挙げられるのは、SI企業などのサポートが不十分であることや、システム開発に必要な詳細情報が不十分であること、全体としてみるとコストがかかってしまうことなどがある。こうした課題を解決するために、このプログラムを提供する」としている。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連キーワード
開発

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

  • デジタル変革か?ゲームセットか?

    デジタルを駆使する破壊的なプレーヤーの出現、既存のビジネスモデルで競争力を持つプレイヤーはデジタル活用による変革が迫られている。これを読めばデジタル変革の全体像がわかる!

  • 「奉行シリーズ」の電話サポート革命!活用事例をご紹介

    「ナビダイヤル」の「トラフィックレポート」を利用したことで着信前のコール数や
    離脱数など、コールセンターのパフォーマンスをリアルタイムに把握するに成功。詳細はこちらから