日立製作所は、人の行動の計測と、その属性(特徴)をリアルタイムで高精度に推定できるという技術を開発した。1台のカメラの左右に2つのレンズを取り付けたセンサで同時に左右2枚の写真を撮影できるステレオカメラと同社が蓄積してきた画像認識技術を活用している。10月27日に発表した。
従来の監視カメラの2次元の映像データでの計測は、人のシルエットを検知することで位置を検出する方法が一般的だが、混雑した空間ではシルエットを認識できず、人手をかけて調整する必要があるなど、リアルタイムで高精度に行動を計測し、なおかつ人の属性を推定するのは難しかった。今回開発された技術は、ステレオカメラで取得した3次元データの解析することで混雑した空間でも行動計測、属性推定が可能になったと説明している。
(日立提供)
同技術では、ステレオカメラで取得したリアルタイムの3次元データをもとに人の頭部付近のデータを抽出し、俯かん視点の画像データに変換する。これにより、混雑した空間でも安定した位置で計測でき、画像上の人の位置の時間的変化を求めることで、高精度な人の位置を追跡できるようになった。実環境データでの評価では、追跡率を従来比で約30%向上している。
今回の技術では、任意の高さにおける人の位置と、その周囲の3次元データを解析することで物体の体積や形状を識別できる。その識別したデータをあらかじめ登録しておいた物体のデータと比較して大きな荷物やベビーカーなどを認識し、人の属性を推定する。
日立では、個人の行動データに年齢層や子ども連れなどの属性データを組み合わせて解析することで多様化する個人のニーズに応じたサービス提供が期待できるとしている。例えば、推定される属性ごとに情報端末やサイネージの表示内容を変更したり、スタッフを派遣して移動を支援したりするなどのサービスが可能になるという。同社では今回開発した技術の実用化に向けた研究開発を推進していく。