電子データ交換(EDI)ソフトなどを開発するデータ・アプリケーション(DAL)。3月20日には初の試みとして、2020年度からの3カ年中期経営計画を発表した。「変革への挑戦」をキーワードに、“EDI専業メーカー”から脱皮、“データ・インテグレーション市場でのリーダー”を目指す。
武田好修氏
2019年3月期の連結決算は売上高が前の期の4.0%増の23億1400万円、営業利益が6.7%増の6億6400万円となった。ソフトウェアの売り上げが14.5%増と貢献。営業利益に加えて経常利益(6億6500万円)と当期純利益(5億600万円)は過去最高となっている。
3カ年計画が終わる2022年3月期には、売上高が30億円、営業利益が9億円、自己資本利益率(ROE)が15%以上を目指している。
EDI基点にデータ統合市場に乗り出す
代表取締役社長執行役員を務める武田好修氏は、一連の動きの背景としてDALとEDI市場の現状を説明する。「現在のビジネスの柱となるEDI事業は、マーケットシェアはNo.1、収益性は業界平均以上を保っている。安定した財務基盤を確保した“非常に堅調”な状態にあるが、市場自体は成熟化しつつある」(武田氏)。EDI市場でのこれ以上の成長は難しいと危機感を口にする。
企業を取り巻く環境は、人工知能(AI)やIoT、ビッグデータといった新たなテクノロジーが台頭。Society 5.0やコネクテッドインダストリーズといった言葉にも表れるよう、ITの広がりも感じているという。「最新テクノロジーの吸収による成長の可能性を感じている。社会的な問題となっている少子高齢化や労働生産性の向上などの課題を解決できるような製品を提供していきたい」(武田氏)
そこで目指す市場がデータ・インテグレーション市場だ。DALでは、企業間取引で使われるEDIのほかに企業内部で使われるデータ連携(ETL)やアプリケーション連携ミドルウェア(EAI)、ファイル転送ソフトウェア(MFT)といった、社内外に散らばる様々なデータを統合するデータベースやシステムなどの4製品を一つの市場として定義。富士キメラの調査をもとに試算した市場規模は約420億円、EDIと比べると約8倍ほどに及ぶという。
新しい市場においても、10年以内を目処にイニシアティブをとる考えだ。「もともとEDIも後発だった。デジタルトランスフォーメーションと呼ばれるテクノロジーを活用した新しい製品、サービスを創出する基盤を、世の中の商取引のバックボーンであるEDIを基点として提供していきたい。ビジネスプロセスの効率化、顧客満足度の向上、生産性の向上、コスト削減などに寄与したい」(武田氏)
DALが考えるデータ・インテグレーション市場(出典:DAL)