英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)に関する欧州委員会の首席交渉官であるMichel Barnier氏は、ブレグジット後も、英国と欧州はサイバーセキュリティに関して緊密に連携を取る必要があると発言した。
2度延期された英国のEU離脱がどうなるかは、依然として離脱協定案が議会に承認されるかどうかにかかっている。ブレグジットが実施された場合、現在の規定では、英国は2020年末までに欧州との未来の関係について合意することになっている。
Barnier氏はリスボンで開催された「Web Summit」で行った講演で、「ブレグジットの過程は単なる離婚ではない。現在は過小評価されている影響が非常に多いため、英国との新たなパートナーシップを構築していく必要もある」と語り、「協定案が承認されても、そこで終わりではない。秩序ある離脱は第一歩であり、それは必要な一歩ではあるが、そこが終点ではないことを念頭に置いておく必要がある」と続けた。
同氏は、今後EUと英国の間で結ばれるすべての協定は、貿易と相互安全保障の確保の両方を基盤としたものになるだろうと述べ、英国とEUは、特にサイバーセキュリティをはじめとする新たな脅威に対抗するために今後も協力する必要があると指摘した。
Barnier氏は、「新たなパートナーシップには、サイバーインシデントや攻撃者の手口、脅威の分析結果、ベストプラクティスなどについての情報交換が含まれるべきであり、これには民主主義システムの正常な機能を標的とした攻撃も含まれる」と述べた。
「極めて重要なのは、そうした攻撃に力を合わせて対応できるようにしておく必要があるということだ」
同氏はまた、欧州は第1次産業革命では先頭に立ったが、今では他地域に後れを取りつつあると警告を発した。「21世紀になってからは、米国と中国が先頭に立っている。欧州が今行動しなければ、私たちの産業や雇用、個人情報、倫理規範の未来は、ワシントンと北京で作られることになる」と同氏は述べた。
Barnier氏はまた、ブレグジットに対する自分の考えを明らかにし、「率直に言おう。今に至るまで、私にブレグジットがもたらす付加価値を説明できた人物は1人もいない。Nigel Farage氏(欧州離脱を強く主張する英国の政治家)も例外ではない」と話した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。