英政府はArmと提携し、企業が使用するハードウェア向けのサイバーセキュリティソリューションを開発することを発表した。
英政府が英国時間10月18日に明らかにしたところによると、「企業と一般の人々向けのサイバーセキュリティ対策を強化」するために、3600万ポンド(約50億円)の資金がArmに提供されたという。
このプロジェクトは今後5年間にわたって実施される予定だ。ケンブリッジ大学やエディンバラ大学など英国の学術機関や企業などが、このプロジェクトの新しい技術をテストする機会を持つ。
Armによると、最初の課題は「Morello Board」というプロトタイプのハードウェアを作成し、ケンブリッジ大学の「CHERI」保護モデルを使ってアーキテクチャー設計をテストすることだという。
ただし、現時点では、それ以上の詳細は明らかにされていない。
3600万ポンドの支援は英政府の「産業戦略チャレンジ基金」(Industrial Strategy Challenge Fund:ISCF)の一環だ。ISCFは、GoogleやMicrosoftなどのテクノロジーベンダーと連携した取り組みだ。
2018年にサイバー攻撃を受けた英国の企業(中小規模企業を含む)の損失額は、平均4180ポンド(約61万円)だったという。現在では、欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)の導入により、そのコストはさらに高くなる場合があるだろう。セキュリティが不十分であるために、企業が顧客データを危険にさらしたと認定されれば、多額の罰金を科せられる可能性がある。
認証情報の定期的な変更や境界セキュリティなどで攻撃のリスクを軽減できるかもしれないが、ハードウェアレベルのセキュリティは、今日企業が利用しているデバイスとネットワークをより強固に保護できる可能性がある。
英政府は、「このプロジェクトには、ハッカーがリモートからコンピューターシステムを乗っ取ったり、サイバー攻撃や侵害を狙ったりするのを防げる可能性がある。つまり、オンラインサービスを提供する企業がより強固に保護されるようになる。さらに、このプロジェクトは新たなビジネスチャンスを生み出し、生産性の向上にも寄与するだろう」と説明している。
また、さらなるプロジェクトが、「戦略優先基金」(Strategic Priorities Fund:SPF)の支援を受けるという。SPFは、特にプライバシーの乱用やオンライン詐欺などにフォーカスし、オンラインの偽情報やフェイクニュースなどの問題に取り組むとともに、英政府によるネットの有害情報規制白書「Online Harms」で説明されているデジタル分野における危険などに対処する。
ビジネス相のAndrea Leadsom氏は、「われわれが先行して、将来の脅威に立ち向かう新しいテクノロジーや手段を開発し、企業を支援するとともに、製品やサービスを安全に提供する上での不安を解消しているということが重要だ」と説明している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。