英政府は現地時間7月4日、サイバー犯罪を中心に取り扱う裁判所の設置を発表した。シティ・オブ・ロンドン自治体と英司法当局の取り決めに基づくものであり、18の法廷が設置されるという。
この計画は、2017年10月に同自治体から提案されていた。なお同裁判所は、フリート・ストリートにあるFleetbank Houseの敷地に新たに建設される予定だ。
同裁判所は、民事裁判所であるMayor's and City of London Courtと、老朽化を指摘されているCity of London Magistrates' Courtを置き換えるものになる。また、新しい警察署も同じ建物内に設置される。
そして同裁判所では、民事や、ビジネス、不動産に関連する訴訟が専門に取り扱われる。
大法官であるDavid Gauke氏は同裁判所の設置について、「英国はビジネスを重視するとともに、めまぐるしく変化する21世紀の犯罪に取り組む準備ができていることを、世界に知らしめるものだ」と述べた。
シティ・オブ・ロンドン自治体の政策責任者であるCatherine McGuinness氏は「今回の調印はこのプロジェクトにおける大きな進展であり、スクエア・マイル(シティ・オブ・ロンドンの通称)において、オールド・ベイリー(中央刑事裁判所の通称)に次ぐ2つ目の象徴的な裁判所となる」と述べ、「私は、この裁判所が詐欺や経済犯罪、サイバー犯罪といった未来の法律上の問題に焦点を当てるという点を特に喜ばしく感じている」と続けた。
今日において、サイバー犯罪はより身近なものになりつつあるため、法律だけでなく、犯罪に用いられる新たなテクノロジの適用に熟知した裁判官を擁する専門的な裁判所の設置は、そういった犯罪を元から絶つとは言わないまでも、少なくとも発生した犯罪に取り組んでいくうえでの重要なステップとなる。
英国家統計局がまとめた、最新の「Crime Survey for England and Wales」(CSEW:イングランドとウェールズにおける犯罪調査)によると、過去1年で英国在住者が巻き込まれた詐欺やサイバー犯罪は470万件にのぼっており、その多くは銀行カードやクレジットカードに関する詐欺だったという。
Nortonによると、2017年には一般人がサイバー犯罪によって盗み取られた金額は世界で1300億ポンド(約19兆円)相当にのぼり、そのうちの46億ポンド(約6700億円)は英国のコンシューマーの損失であるという。
裁判所が実際に運用され始めるまでにはもちろん、建物が完成するまでには、まだしばらく時間がかかるだろう。建築許可と資金の都合により、裁判所の完成は2025年以降になる見込みだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。