2020年について1つだけ確実なことは、確実なことなど1つもないということだ。これまでもそれは同じで、これからも変わらないが、2020年には、最高情報責任者(CIO)の対応に変化が求められる。これまでITリーダーは、不確実性が大きくなると、守勢に回って効率化と経費削減を進めるのが普通だった。しかし今の環境では、その対応では失敗する可能性が高いとわれわれは考えている。
Forrester Researchの調査によれば、一流企業はむしろ恒常的な変化や不確実性に積極的に対応している。こうした進んだ企業では、CIOは一歩進んで顧客体験や従業員体験を刷新し、技術の奴隷になることなくデジタル技術を活用して、エコシステムが持つ爆発的な力を生かすことでイノベーションや破壊的変革、成長につなげている。
以下では、CIOがこうした厳しい環境に対応するのに役立つ、2020年に向けてのForrester Researchの予想をいくつか紹介する。
- CIOの最優先課題は人の問題になる。最近では、以前なら調達して展開するのに数カ月はかかっていた技術が、数時間で展開できるようになった。しかしそのことも、CIOが抱えている最大の課題である、人の問題の解決には役に立たない。2020年には、人材や文化、組織の問題が中心になる。経営陣はCIOに対して、こうした労働力に関する複合的な問題を解決する、技術的なソリューションを求めてくるようになるだろう。
- データ戦略に対する要求が徐々に増えるのではなく、爆発的に大きくなる。デジタル変革の取り組みが続く中、データは今後も最も重要なものとなる。しかし、データ戦略を成功させるには、適切な技術を選ぶだけでは足りない。以前は、このことがデータに関する取り組みの要件変更を引き起こし、予算の増大や、見込み違いの結果、取り組みの停滞や中止につながっていた。しかし2020年にはようやく、成功するためには全社的な取り組みが必要であることを経営陣が理解し、データ戦略の取り組みが爆発的に拡大するとわれわれは考えている。その結果、全組織的な人材に関する大規模な改革も進められる。一流企業は投資を増やし、そうでない企業は迷走する。
- 自動化技術がIT部門を変え始める。Forrester Researchの調査によれば、CIOがもっとも関心を寄せている話題には、自動化やRPA(ロボティックプロセスオートメーション)、人工知能(AI)技術などが含まれているが、これには十分な理由がある。導入する組織が適切な文化と、適切な人材や業務プロセスを備えていれば、これらの技術を使って単純作業をロボットに任せ、人材の力を引き出すことができる。2020年には、CIOが自動化の取り組みを計画から実行に移し始める。その取り組みは足下のIT部門から始まるだろう。一次的なサポートや、ありふれたインフラに関する業務プロセスはロボットに任せられ始める。
Forrester Researchは、2020年にCIOを襲う大きな変化についての予想を発表している。詳しく知りたければ、「Predictions 2020」をダウンロードして参照できる。
本稿はForrester ResearchのプリンシパルバイスプレジデントBrian Hopkinsが執筆した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。