インテルは4月3日、「第10世代インテル Core H シリーズ プロセッサー・ファミリー」に関するプレス向け説明会を開催した。
第10世代Core Hシリーズの最大のアピールポイントとなったのが、「モバイル向けプロセッサーとして、動作周波数5GHzの限界を初めて突破」した点。同社 技術本部部長の安生健一郎氏は「動作周波数が重要な理由」として「ゲームやアプリケーションの大半は、依然として高い動作周波数のコアに依存」していることを指摘、さらに「パフォーマンスの向上には高フレームレート、つまりレイテンシー軽減の基盤要素が必要。ここで重要となるのが動作周波数」というロジックで“5GHz超え”の意義を強調した。
また、実際のゲームタイトルを利用してFPS(フレーム毎秒)を測定したベンチマーク結果を「3年前のシステムとの比較」として「インテル Core i7-7620HKと同i9-10980HK」「同i7-7700HQと同i7-10750H」といった組み合わせで大幅に性能向上していることを示す一方、こうした実アプリケーションでのベンチマークを行う意義として、現在同社が「実際のソフトウェアを使った性能評価/改善に取り組んでいる」ことの表われだとした。
なお、第10世代Core Hシリーズで新たに加わった特徴としては、「最大8コア/16スレッド」のSKUが追加されたことに加え、「インテル ターボ・ブースト・マックス・テクノロジー 3.0」(デスクトップ向けには既に実装済。モバイル向けとして初)、「DDR4-2933までのメモリサポート」「インテル スピード・オプティマイザー」「インテル Wi-Fi6 AX201(Gig+)内蔵」(一部機能はチップセットに内蔵される)――などが紹介された。
コンピューターの性能向上に関しては、さまざまな要素のバランスが重要であり、トレンドが循環していくような傾向も見られる。かつての“NetBurst”時代にインテルのプロセッサーは急激なクロック周波数の向上を達成したが、消費電力量の増大やその副作用でもある発熱量の増大といった問題が生じたことで、「消費電力量当たりの処理性能」を新たな指標として掲げ、プロセッサー内部での並列度を向上させるというアプローチを併用しながら性能向上につなげる、という方針に切り替わった経緯がある。
当然ながら、かつてのようなペースでのクロック周波数を向上させ続けていくことは技術的なハードルが極めて高くなりつつあるのが現状ではあるが、それでもここにきて改めてクロック周波数の重要性をアピールすることになった点は、技術的なトレンドが一巡したような印象も受ける。同時に、フラッシュストレージなどの普及もあって、改めてプロセッサーの処理能力をより一層向上させたいというニーズも高まっているという事情もあるかもしれない。AMDとの競合状況も含め、市場の反応が興味深いところだ。