デル テクノロジーズ(デル/EMCジャパン)は4月23日、データ保護に関する最新調査「Global Data Protection Index 2020 Snapshot」の分析結果についてオンライン記者説明会を開催した。
今回の調査は、世界15カ国にわたる従業員数250人超の一般企業と公的機関のIT意思決定者1000人を対象に、データ保護の現状と将来の課題を明確化し、企業・組織がデータ保護を考える上でのベンチマーク情報を提供するもの。
調査結果によると、企業が管理しているデータ量の平均は、この1年間で約40%増えていることが明らかになった。企業内で管理するデータ総量は、2018年に9.70ペタバイト(PB)だったが、2019年には13.53PBに増えた。
これらのデータに対する最大の脅威は、サイバー攻撃からデータロス、予期せぬダウンタイムまでを含むシステム障害の増加である。実際、2019年の調査では、82%の企業が、過去1年の間に何らかの障害インシデントを経験したと回答している。また、68%の回答者が今後1年間に新たな障害が発生するだろうとの懸念を示している。
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DPS事業本部 シニア ビジネス ディベロップメント マネージャーの西頼大樹氏は、ダウンタイムやデータロスを引き起こす要因として、データ破損やソフトウェアエラーなどが増加傾向にあると指摘する。「ハイパーコンバージドインフラ(HCI)やクラウドコンピューティングなど、ハードウェアに依存しないIT環境が増えたため」との考えを示した。
また、データ保護を複数ベンダーで運用する企業は、単一ベンダーで運用する企業と比べて、ダウンタイムやデータロス、サイバー攻撃によるアクセス阻害の影響が大きいという。例えば、ダウンタイム関連の損失額では平均で約2倍、データロス関連の損失額に至っては約5倍も高くなっている。
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人工知能/機械学習(AI/ML)や第5世代移動体通信(5G)といった新興技術がデータ保護ソリューションの課題になっている。回答者の71%は新興技術がデータ保護の面で複雑さや困難さを高める存在になり得るとし、61%は新興技術の導入がデータ保護の視点から見てリスクを伴うとしている。62%の回答者は、既存のデータ保護の仕組みが新興技術の保護には不十分/適さないと感じている。
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今回の調査では、81%の回答者が、現在使用しているデータ保護ソリューションでは、今後出現する可能性のある全てのビジネスの課題に対応することはできないと回答している。
さらに、企業は新しいビジネスアプリケーションの導入に際し、複数のクラウドを組み合わせるアプローチを利用しており、コンテナーやクラウドネイティブアプリケーション、SaaSアプリケーションといったワークロードの保護を考えるようになっている。
今回の調査では、新しいアプリケーションを展開する環境として企業が選ぶアプローチは、パブリッククラウド/SaaS(43%)、ハイブリッドクラウド(42%)、プライベートクラウド(39%)という結果となった。
こうしたトレンドを受けて、今後データ保護ベンダーを選ぶ際の基準として、85%の企業・組織がクラウドネイティブアプリケーションのデータを保護する機能が重要だと回答した。サイバー攻撃によるデータアクセス阻害やデータ損失からのデータ復旧を支援する機能の提供も89%に上った。
今回の調査から見えてきた現状について、西頼氏は「デジタルデータの量と価値は引き続き上昇傾向にあり、それに伴い障害インシデントによるインパクトも拡大傾向にある。データ保護環境においては、構成するベンターの数がインパクトのリスクコントロールにおいて重要なポイントの1つとなる。また、新興技術に対する最適なソリューション提供が、今後のデータ保護市場におけるトレンドを左右する」と述べた。
デルでは、企業・組織におけるデータ保護戦略を定期的に改善するための、最新鋭化プロセスを解説した「データ保護の周期表」(PDFファイル)を提供している。「データ保護体制の現状把握に役立て、デルのソリューションを適用したらどうなるかが分かるようになっている。今後のデータ保護戦略に生かしてほしい」(西頼氏)