1990年代にWindowsの「タスクマネージャー」を作った元Microsoftの開発者David Plummer氏が、タスクマネージャーの内部や、あまり知られていない隠し機能について明らかにした。
Windowsの最初のタスクマネージャー(TaskMgr)は、「Windows NT 4.0」と一緒に1996年にリリースされた。それ以降にWindowsを使ったことがある人なら誰でも、CPUの負荷を調べたり、プロセスを終了させたりするために、タスクマネージャーを使ったことがあるはずだ。
Plummer氏は、自分が作ったタスクマネージャーについて詳しく説明する記事をRedditに投稿した。当時の同氏は、レドモンドにあるMicrosoftの本社で働く新人開発者だったが、1994年頃にタスクマネージャーを作ったのは、「自宅のねぐら」でのことだったという。
Plummer氏によれば、Windows NTの父であるDave Cutler氏をはじめとする「NTのボス開発たち」は、同氏がまだ「青二才」だったにもかかわらず、そのタスクマネージャーをWindowsのメインツリーにチェックインするのを許してくれたのだという。
この投稿で明らかにされたタスクマネージャーに関する逸話や裏技は、「Windows XP」に同梱されていたバージョンに関するものだが、Plummer氏は、このアプリは「Windows 10」でも基本的に変わっていないと述べている。同氏は、リソースが少なくなったり、アプリがクラッシュしたりした状況でも、動作し続けられるようにタスクマネージャーを設計した。
The Registerの記事では、Plummer氏がカナダのレジャイナ大学で行った、Microsoftでの経験についての講演について紹介している。同氏は、1993年にMicrosoftでMS-DOSの仕事をするためにレドモンドに引っ越すまで、この大学で計算機科学を学んでいた。
大学時代のPlummer氏は、高くて自分では買えなかったコンピューターを借りて、MicrosoftのBASICインタープリターでBASICのプログラムを書いていた。
その頃同氏は、自分が将来ゲームや組み込みシステムのコードを書く仕事に就くとは知らずに、Bill Gates氏とMicrosoftの成り立ちについて書いた本である「Hard Drive」(邦題:『ビル・ゲイツ--巨大ソフトウェア帝国を築いた男』)を読んだ。
Amigaの熱狂的なファンだったPlummer氏にとって、Microsoftはそれまで常に敵だったと同氏は述べている。
「それでも、Microsoftの背景にある物語には興味があった。ところが、一度その本を読んだら、それは『興味』という言葉では言い足りないものになってしまった。『夢中』や『心酔』という感じだった。自分では分かっていなかったが、私はMicrosoftの人々や、取り組みや、環境や、仕事の進め方に魅了されていた」
Plummer氏はMicrosoftに入社したいと思ったが、当時のMicrosoftには、毎年10万人の入社希望者が集まっていた。同氏は何とか面接にこぎつけたが、それは「厳しいことで有名な」ものだったという。
「面接には丸1日かかった。最初に、応募者がまともな人間であることを確認するための人事部門の面接があり、それに続いて、ホワイトボードの前に立たされて、難問に回答し、Cやアセンブラのコードを限界まで書かされるコーディング面接を5つ連続で受けた」とPlummer氏は述べている。
「面接官は、私たちが途方に暮れるか壊れてしまうまでプレッシャーをかけた。採用担当マネージャーの『最終面接』に進むことができるかどうかはその5回の面接の結果次第だった。面接の各ステップで出る結果はブール値で、雇うか、雇わないかのどちらかだった。中間はなかった」