Dell Technologiesは米国時間6月2日、人工知能(AI)関連ワークロードの配備の迅速化を目的とした一連の設計やシステムを提供することを発表した。これらは、VMwareが買収したBitfusionのテクノロジーを活用したものだ。
今回発表された2つの「Dell EMC Ready Solutions」は、「VMware Validated Design」(VVD)に基づき、Dell EMCのハードウェアと「VMware Cloud Foundation」(VCF)、および「VMware vSphere 7」の新たなBitfusionの機能を組み合わせている。
Dell Technologiesによると、同社は「VMware」環境内でAIワークロードを実行するシステムを実現した初のIT企業のうちの1社だという。
Dell Technologiesのサーバー部門で製品管理とマーケティングを担当するシニアバイスプレジデントであるRavi Pendekanti氏はこれらの新しいシステムについて、AIをどこでも実行できるようにするとともに、十分に利用されていないGPUを活用することを目指しているとし、「GPUインスタンスが十分に利用されていないため、AIの足が引っ張られている」と述べた。
またPendekanti氏によると、これらシステムにおけるDell Technologiesの戦略は、情報の孤立地帯をなくし、モデルに対してデータを連続的に活用することだという。VMwareのBitfusionテクノロジーは、仮想化と組織化によるGPU利用効率の向上を目指したものだ。
以下はBitfusionがGPUを組織化する方法を図示したものだ。
これらのシステムには以下のものが含まれている。
- 「Dell EMC Ready Solutions for AI」:これには、サービスとしてのGPU(GPUaaS)を実現する統合システムが含まれる。Dell EMC Ready Solutions for AIは、GPUという貴重なリソースの利用効率を高めるために、2種類の設計アプローチで仮想GPUプールを作成する。それらのアプローチの1つは、VMwareが同日発表した「VMware vSphere 7 with Bitfusion」であり、これによって場所を選ばずにAIワークロードを実行できるようになる。もう1つは、「Kubernetes」をサポートしたVMware vSphere7を用いた最新のVCFおよびコンテナー化されたアプリケーションを活用するものだ。
- 「Dell EMC Ready Solutions for Virtualized HPC(vHPC)」:このアーキテクチャーには、Bitfusionを特徴としたVMware vSphere 7を用いたVCFによる仮想化アーキテクチャーを含めることができる。こういったシステムは、特殊なスキルを要することなしに、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)ワークロードやAIアプリケーションをVMware上でより容易に実行可能にすることを目的としている。また、大規模なHPC実装では「VMware vSphere Scale-Out Edition」というオプションでコストの低減を図ることもできる。
これらのシステムは、同システム内の「Dell PowerEdge」サーバーに含まれている「Dell EMC OpenManage」システム管理ソフトウェアによって、システム稼働時間や、継続的なデータ洞察、AI運用の管理といった能力を向上させることが可能になる。またOpenManageには、「vSphere Lifecycle Manager」をサポートする「OpenManage Integration for VMware vCenter」や、熱ポリシーやストレージの監視能力とともに非常時の省電力運用の実行能力をもたらす「OpenManage Mobile」アプリに対する拡張も含まれている。
またDell Technologiesは、HPCやAIのワークロードの使用量に基づいて価格を決定する「Dell Technologies On Demand」というオプションも提供する。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。