新型コロナウイルスの感染防止対策で導入が進んだテレワーク。だが、課題もここに来ていろいろと浮き彫りになってきた。2つの調査レポートから、その内容を探ってみたい。
日本生産性本部、ウイングアークによる最新の調査結果は
ここ2カ月余り、テレワークによる在宅勤務が急増した中で、その利用状況についての調査レポートは数多く目にしてきたが、ここに来て課題について取り上げたレポートも見かけるようになってきた。その中から、本稿では5月下旬に発表された2つの最新レポートを取り上げたい。
まずは、日本生産性本部がまとめた「新型コロナウイルスの感染拡大が働く人の意識に及ぼす調査」レポートによると、5月11〜13日に、企業に勤める20歳以上の1100人から回答を得た結果として、図1のようなテレワークの課題が挙げられた。
テレワークの課題(出典:日本生産性本部の「新型コロナウイルスの感染拡大が働く人の意識に及ぼす調査」)
上位を見ると、「職場に行かないと閲覧できない資料・データのネット上での共有化」が48.8%と最多。以下、「Wi-Fiなど、通信環境の整備」が45.1%、「部屋、机、椅子、証明など物理的環境の整備」が43.9%と続き、上位3つが40%を超える割合となった。一方で、「特に課題は感じていない」は8.4%にとどまり、多くの人が現状に不都合を感じていることが分かった。
もう1つ、ウイングアーク1stがまとめた「新型コロナウイルス対策としてのテレワークの実態調査」レポートによると、5月7〜15日に、同社のメールマガジン購読者の中からテレワーク利用者に課題を聞いたところ、図2のような結果が得られた。
テレワークの課題(出典:ウイングアーク1stの「新型コロナウイルス対策としてのテレワークの実態調査」)
図2の見方を捕捉説明しておくと、それぞれのグラフにある数字は、有効回答数136件の複数回答形式による集計数である。136件と対比した割合で上位を見ると、「社内体制が整っていない(社内規定など)」が71%と最多。以下、「パソコンや通信環境の整備が不十分」が60%、「セキュリティ上の不安がある」が59%、「ソフトウェア等の整備が不十分」が48%などとなっている。