IDC Japanは、2021年3月末時点の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響を考慮した国内IT市場予測のアップデートを発表した。
これによると2020年は、同年12月発行のアップデート情報と比較して4.1ポイント改善し、前年比2.2%減の17兆8991億円の実績、2021年は同0.2ポイント悪化し、前年比2.7%増の18兆3772億円と予測される。
国内IT市場における産業分野別の支出額予測(2020〜2025年)(出典:IDC Japan)
IDCでは同市場の2020年〜2025年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は2.6%、2025年の国内IT市場規模は20兆3,776億円と予測しているが、COVID-19の感染拡大や抑制に関する見通しは不透明な部分が多く、今後の状況によっては予測を大きく見直す可能性があるとしている。
また、同社は「COVID-19のワクチンの配布が開始されることで2021年の経済成長率は2.8%のプラス成長に転じるが、経済活動がCOVID-19の感染拡大以前の水準に回復するのは2023年以降になる」という前提で各分野の予測を行っている。
これによると、製品別では、通信インフラ、ソフトウェア、IaaS(Infrastructure as a Service)が市場をけん引するという。これは国内通信事業者による携帯電話通信料金値下げによるスマートフォンの買い替え需要の増加、テレワークの進展による通信インフラの増強、IT市場のクラウドシフト、利用形態のサブスクリプション化の進展が背景にある。
産業分野別では、COVID-19の影響による移動抑制が継続する運輸分野を除く全ての産業分野でプラス成長に回復するという。携帯電話料金値下げによるスマートフォンの買い替えによる消費者、テレワークの進展による住環境整備に伴う建設土木、消費者の在宅時間の長期化に伴う家電購入、自動車向けやスマートフォン向けの電子部品の需要が堅調な製造が、2021年のIT市場の成長をけん引する。
従業員規模別では、経営体力に乏しいSMB(中小企業)では事業継続が難しい状況に追い込まれる企業が増えており、500人未満の企業では2021年もマイナス成長が継続するとしている。年商規模別でも、経営体力に乏しい年商規模100億円未満の企業では引き続きマイナス成長になると予測している。