米国のJoe Biden政権は、National Artificial Intelligence (AI) Research Resource(NAIRR:国家人工知能リサーチリソース)の実現に向けたタスクフォース「National Artificial Intelligence Research Resource Task Force」を立ち上げたと発表した。このタスクフォースは12人のAI専門家で構成され、AIリサーチャーらによるデータやコンピューターリソース、その他のツールへの柔軟なアクセスを実現するための計画を作成する。
このタスクフォースの立ち上げは、「National AI Initiative Act of 2020」(2020年国家AIイニシアチブ法案)が米連邦議会を通過した際に義務付けられていた。そしてこのタスクフォースがNAIRRを設置することになる。NAIRRはホワイトハウスの声明によると、「米国全域でのAIのイノベーションと経済的な繁栄を加速する」共有リサーチインフラだという。NAIRRは全ての科学分野を横断し、AIに携わるリサーチャーや学生を念頭に置いたものとなる。
米国立科学財団(NSF)のディレクターであるSethuraman Panchanathan氏は声明に「米国の教育機関や業界、政府の第一線で活躍している専門家を結集することで、刺激的かつ説得力のある道筋を示し、科学分野とエンジニアリング分野全般、そして米国経済の全セクターにおける米国の長期的な競争能力を保証できるようになる」と記している。
この新たなタスクフォースは、公的部門、民間部門、学術機関などのAIの専門家で構成される。DefinedCrowdの最高経営責任者(CEO)Daniela Braga氏、Google CloudのAI責任者Andrew Moore氏、スタンフォード大学のFei-Fei Li氏らが従事する。米科学技術政策局(OSTP)のAI担当アシスタントディレクターLynne Parker氏とNSFの副アシスタントディレクターErwin Gianchandani氏が共同で議長を務める。
NAIRRの設置は、米国内のテクノロジー進展を加速させるという政府の幅広い取り組みの一環となっている。例を挙げると、2019年に当時の大統領だったDonald Trump氏は米国内でのAIの開発と規制を迅速化させるための大統領令に署名している。そして先週、米連邦議会上院はAIから量子通信に至るまでの、科学に関する多様な研究開発に向けた2500億ドル(約27兆円)の投資を承認した。こういった取り組みは主に、中国の迅速なAI開発という脅威によって加速されている。
このタスクフォースはNAIRRの設置に向け、技術的能力とガバナンス、管理、アセスメントのガイダンスとともに、セキュリティやプライバシー、国民の権利、国民の自由に関する要件を提供することになる。
また2022年には、戦略の立案に向けた2つの報告書を議会に提出する予定となっている。さらに、その取り組みに関する一般からの意見聴取も予定されている。
このほか、元IBMのエンジニアでテネシー大学教授のMark Dean氏、アレン人工知能研究所のOren Etzioni氏、ニューヨーク大学のJulia Lane氏、カリフォルニア大学サンディエゴ校のMichael Norman氏、テキサス大学オースティン校のDan Stanzione氏、米エネルギー省のFrederick Streitz氏、米国立標準技術研究所のElham Tabassi氏らがタスクフォースのメンバーとなっている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。