中国が世界の"オペレーティングシステム"の主導権を握る恐れ--英GCHQ長官

Danny Palmer (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2021-04-29 08:30

 自由主義陣営の諸国はサイバー防衛に関する投資と開発を継続し、中国やロシアなどの国々に後れを取ることがないようにする必要がある。

 英国の情報機関であり、同国のサイバー安全保障を担う組織でもある政府通信本部(GCHQ)のJeremy Fleming長官は、現在の英国は世界レベルのサイバー防衛能力を備えているとしながらも、技術をめぐる状況の変化が速く、中国やロシアが異なる価値観を拡散し、テクノロジーを利用してサイバー空間で力を行使しようとしている現状を考えれば、その優位性を維持し続けられるとは限らないと警告を発した。

 Fleming氏は、「新たな技術によって、生活がオンライン空間に展開されつつある。それに伴い、サイバーセキュリティは、国を挙げた取り組みが必要な戦略的な問題になってきている。そして、ルールは必ずしも政府がコントロールできない形で変わり続けている」と述べた。

 さらに同氏は「私たちの未来の繁栄と安全保障は重要技術に依存しているが、行動を起こさなければ、それらの技術は自由主義陣営が広げ、コントロールするものにはならないことが明らかになりつつある。私たちは今試練の時に直面している」と付け加えた。

 Fleming氏がこれらの発言をしたのは、インペリアルカレッジロンドンで開催された2021年のVincent Briscoe記念年次セキュリティレクチャーでのことだ。同氏は、グローバルなデジタル環境を構成する要素が権威主義的な国からの脅威にさらされており、「非自由主義的な価値観」を持つ国々がサイバー空間を自分たちの都合に合わせて変えようとしているこの状況を放置すれば、インターネットの設計と自由が脅かされかねないと警告した。

 「ロシアの活動がもたらす脅威は、スマートフォンで使っているアプリの1つに脆弱性が見つかったようなものだ。深刻かもしれないが、おそらくほかのアプリを選ぶこともできる。問題は、中国の規模と技術的な存在感が大きく、同国が世界のオペレーティングシステムをコントロールできる潜在能力を持っているということだ」とFleming氏は言う。

 また同氏は、「実際、今のデジタル環境を変えつつある新技術の多くを最初に導入しているのは、中国のような国だ。彼らはサイバー空間の未来について自由主義陣営諸国とは競合するビジョンを持っており、国際的なルールや標準に関する議論に深く関与している」と付け加えた。

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