CircleCIが実施した最新の調査でも明らかになったとおり、ソフトウェア開発チームは企業の成功にとって重要だと多くの経営者は考えている。しかし同時に、ソフトウェア開発チームの成果を時代遅れな指標で評価していた経営者がいることも分かった。
CircleCIは、開発チームの価値を考えれば、誤った指標を用いれば大きな損失が生じる可能性があると述べている。
調査では、回答者の36%が、ソフトウェア開発チームはソフトウェアのデリバリーが改善されれば売上高を50%以上増やすことが可能だと考えていた。レポートによれば、回答者全員の回答に基づいて計算すると、デリバリーの改善によって平均で40.8%の売上高の増加が見込める可能性があるという。調査対象の企業が回答した売上高を踏まえれば、これらの企業では、1社当たり年間で平均1億2600万ドル(約140億円)の売上高が得られないままになっていることになる。
レポートでは、「この18カ月に起こった変化によって、経営者とソフトウェアチームの連携がこれまで以上に急務になっている」と結論づけ、「チームから得ている価値を理解し、目標と優先順位のすり合わせを十分に行い、ソフトウェア開発者が力を発揮しやすい環境を作ることが、これまで以上に重要になる」と述べている。
この調査は、12の産業分野の経営者2000人を対象として米国と英国で実施された。回答者の97%は、今後1年間のビジネスが成功するかどうかは、少なくともその一部がソフトウェアチームの能力にかかっていると回答していた。また62%は、ソフトウェアチームの能力は「非常に重要」あるいは「重要」だと述べている。
それに加え、圧倒的多数の89%が、自分はソフトウェアチームやソフトウェア開発のパフォーマンスを評価する方法を十分に理解していると考えていた。
ところがその多くは、時代遅れな指標で成果を評価していた。回答者の40%が成果を書かれたコードの行数で評価していると答えたのに対して、ストーリーポイント(タスクを完了するのに必要な時間と労力を表す単位)を使用していたのは37%だった。
スループットや平均復旧時間などのより有用な指標を使っていると答えた回答者も同じくらいいた。
レポートでは「このことは、時代遅れの指標と、それらの代わりに使われるようになっているより新しい指標との間の違いを明確にする必要があることを示している」と述べている。
産業別に見ると、コードの行数を指標として用いている経営者がもっとも多かったのはIT・通信業界で、45%が評価指標にコード行数を用いていた。医療業界でも44%がコード行数を用いており、調査対象となった業界の中では多かった。一方、旅行業および運輸業では、この古い指標を使っている経営者は16%しかいなかった。その代わりこの業界では、主な指標として成功率を用いる傾向が強く、60%が成功率を使用していた。
CircleCIは、経営者が取るべき対応について、適切な指標で成果を評価することに加えて、ソフトウェアチームが企業の成功に寄与できるような仕組み作りが重要だと指摘している。これには、目標や成果の方向性をすり合わせることや、フィードバックループの短縮などが含まれるという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。