ローコード開発基盤「OutSystems」の販売及び関連する受託開発サービスを提供するBlueMeme 代表取締役社長の松岡真功氏に、市場動向や事業戦略について聞いた。同社は2021年6月29日に東京証券取引所マザーズへ新規上場している。
BlueMeme 代表取締役社長の松岡真功氏
コロナ禍でも成長を続けるノーコード/ローコード市場
松岡氏(以下同):ノーコード/ローコード開発ツールの市場規模は10~20%で成長している。エンジニア向けのローコード開発ツールと非エンジニア向けのノーコード開発ツールに大別されるが、特にノーコード開発ツールの成長が著しい。現場担当者がノーコードでシステムを開発していく中で、より複雑なシステムやデータベースの制御をローコードでやりたいという流れが起きている。
これまでは、スクラッチ開発したレガシーシステムをローコードで置き換えたいというニーズはあったが、コロナ禍やデジタル変革(DX)の影響でいろいろな人がノーコード開発ツールを使い始め、より高度なことをやりたいとローコード開発ツールに関心を寄せている。ノーコードで小さく始めて、ローコードで作り込んでいくことも可能だ。
ローコード開発ツールは、大規模なシステムの構築で価値を発揮する。ソースコードを自動生成することで人的エラーを防ぎ、開発業務を自動化することで品質を担保できるようになる。われわれの顧客は早い段階でローコード開発を取り入れており、基幹システムの構築と内製化に活用している。
また、サーバーサイド型のローコード開発ツールなら、サーバー側でソースコードを自動生成するため、開発者は見ることも触ることもできない。コロナ禍で主流になったリモート開発において、ソースコードの品質と安全性を確保できる。
システム障害や情報漏えいのリスクを抑えるために、ローコード開発ツールを導入する企業も増えている。
システム内製化でエンジニアの流動化が加速
日本はIT人材の7~8割がシステムインテグレーターやITベンダーに所属するといわれている。これは米国とは真逆であり大きなポイントだ。ローコードの普及とともに、IT人材の流動化が加速するのではないかと考えている。ローコードでシステムの内製化が進めば、事業会社でスキルを身に着けながらエンジニアになるというキャリア形成が可能になるだろう。
新型コロナウイルス感染症の感染爆発が起こる前になるが、幾つかの大学でローコードに関する寄付講座を開催する予定だった。現在は凍結中だが、コロナ後に改めて企画するつもりだ。学生がローコード開発を体験することで、より実践に基づいたプロジェクト管理を学べるのではないかと話し合っている。