ユーザー体験技術の2021年動向--AR/VRなどが「幻滅期」入り

ZDNET Japan Staff

2021-11-26 13:15

 ガートナー ジャパンは、「日本におけるユーザー・エクスペリエンスのハイプ・サイクル:2021年」を発表した。人の経験や体感に密接に関わる技術が新たに注目され始めた一方で、AR/VR(拡張/仮想現実)やスマートスピーカーなどは市場から著しく期待される時期を過ぎたとしている。

 同社のハイプ・サイクルは、さまざまな技術などについて、黎明(れいめい)期から市場で過度にもてはやされる期間を経て幻滅期に入り、最終的にはその重要性や役割が理解され進化していくという共通パターンを視覚的に説明するものになる。

 同社では、企業の従業員やパートナーなどITのユーザーに提供されるIT環境を改善して、ユーザーエクスペリエンス(UX)を向上させることが重要になっていると指摘。今回のハイプ・サイクルでは、(1)AR/VRやスマートスピーカーなどユーザーインタラクションに関する技術、(2)スマートロボットや次世代ドローンなど自律行動型デバイスに関する技術、(3)デバイスやエンドポイント向けの無線通信、(4)知覚や嗅覚など人を代替、あるいは拡張するための未来型技術――の4つの観点から、2021年の日本市場におけるこれら技術の立ち位置を示した。

「日本におけるユーザー・エクスペリエンスのハイプ・サイクル:2021年」、出典:Gartner、2021年11月
「日本におけるユーザー・エクスペリエンスのハイプ・サイクル:2021年」、出典:Gartner、2021年11月

 新たに追加された技術は、「人間中心のAI」「五感センサ」「仮想オフィス」「リモート・エキスパート・ガイダンス」など、人間の経験や体感に密接に関わるものになる。同社によれば、UX領域では、従来の従業員向け技術が成熟する一方で、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する重要な技術に過度な期待が寄せられ、過熱状態になっているとする。

 加えてユーザーのIT環境では、「技術駆動型」から「人中心型」に変わることが重要になり、人間がより使いやすく心地のよい技術を実現してUXを向上させ、そのためのシステムのさらなる効率化や高機能、高性能化を目指すことがさらに重要になっているという。

 アナリスト シニア プリンシパルの針生恵理氏は、「企業は今後のデジタルワークプレース戦略の中で、柔軟なワークスタイルを実現したり、従業員のエクスペリエンスを向上させたりするソリューションに焦点を当ててロードマップを作成する必要がある」とコメント。UX関連技術は成熟に比較的長い期間を要するものが多いとしつつ、「デジタルワークプレース変革の動きに合わせて、企業におけるUXの重要性は高まり、技術進化も加速することが予測される」としている。

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