アナリストらによると、われわれのテクノロジーで重要な役割を担っている半導体や希少鉱物の世界的な不足は2022年も頭痛の種となり続け、その影響度合いは業界によってさまざまだという。
データおよびアナリティクス企業の大手であるGlobalDataが最近発表したレポートによると、過去2年続いた半導体(チップ)不足という問題は、新型コロナウイルスの新たな変異株の出現を受け、2022年も続いていくという。また、特に影響を受ける業界として5Gや医薬品、バッテリーなどが挙げられている。
「Tech, Media, and Telecoms Predictions 2022」(テクノロジー/メディア/電気通信分野の2022年予想)と題された同社のこのレポートには、半導体や、その材料となる鉱物のサプライチェーンをめぐる米国と中国の反目が2022年の大半を通じて続くものの、同年後半のどこかで改善の兆しが見え始めるだろうと記されている。GlobalDataのテーマリサーチチームのアナリストであるDaniel Clarke氏は米ZDNetに対して、コンシューマーは自動車業界やテクノロジー業界で最も大きな影響を目にすることになるだろうと語った。
同氏は「自動車業界について言えば、ひとえに製造上の問題が要因となって、新車販売は企業が望むほどの規模には至らないだろう」と述べるとともに、「テクノロジー業界では、スマートフォンやゲームコンソールが引き続き影響を被ると見込まれる。そしてコンシューマーは価格の上昇や、広範囲で品薄状況が生み出されるという影響に直面する。というのも、テクノロジー企業は自社でコストを吸収するか、コンシューマーにコストを転嫁するかを選ばざるを得なくなるためだ」と述べた。
われわれは2021年に既に半導体不足の影響、特にテクノロジー業界に対する影響を実感した。例を挙げると、Appleは2021年秋に「iPhone 13」の生産量を10%削減したとみられる。しかしClarke氏は、テクノロジー業界のサプライチェーンに対する圧力は2021年よりも緩和される見込みだとした。
同氏は「短期間のロックダウンにつながるような新たな変異株が登場した場合、2022年の不足状況に予期せぬ圧力がさらにかかる可能性もある」と述べ、「ただしこの仮定において、在宅勤務に起因する需要側の圧力は以前ほどの混乱を引き起こさない。在宅勤務者の多くは既にこれまでのロックダウンでコンシューマー向け電子機器を入手しているためだ」と続けた。
サプライチェーン問題は2022年も続くとはいえ、これまでわれわれが直面したほど厳しいものにはならないだろうというGlobalDataの調査結果と同様の見解を記しているレポートは複数ある。Deloitteが2021年11月に公開したレポートでは、2022年末の段階でも、顧客の元に半導体が届くには10~20週間かかる状況だという、より厳しい予想が示されている。
Clarke氏によると、詰まるところ半導体不足を解消する鍵は、西側諸国の政府が主導する、半導体製造に向けた大々的な投資だという。こうした投資には、希少鉱物の供給源を多様化するための探査や採掘、加工が含まれる。
Clarke氏は「西側諸国の政府は、国内の半導体メーカーが海外に製造をアウトソーシングしないようにするための助成に重点を置くだろう」と述べ、「半導体メーカーにとってコスト面での競争力が重要なのだ」と続けた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。