日本は給与が上がらない国と言われる。ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパンが発表したレポートからは、「引く手あまた」と言われるIT職を見ても日本のIT人材が受け取る給与は中国やシンガポールよりも低いことが分かった。さらには、全体として昇給率も低いという。同社は、終身雇用から成果ベースにすることが一つの鍵になると見る。
日本のデジタル担当者の給与は中国の半分以下
ヘイズは、英国を拠点に33カ国で事業展開する人材コンサルティング会社Haysの日本法人。同社は毎年、日本、中国、シンガポール、香港(特別行政区)、マレーシアの5カ国で働くプロフェッショナル人材の約1万人を対象に給与や雇用の実態を調べ、「ヘイズアジア給与ガイド」としてまとめている。調査対象職種は1200近くに上る。給与は実績数値であり、ボーナスなど報酬パッケージを全て含む。
ヘイズ・ジャパン マネージングディレクターのGrant Torrens氏
今回で15年目となる給与ガイドを紹介したヘイズ・ジャパン マネージングディレクターのGrant Torrens氏は、今調査のポイントを次の3つとした。
- 高度なスキルを必要とする業種や幹部レベルの給与について日本は、中国、香港、シンガポールに劣る
- 日本の昇給率はアジアで最低レベル
- 日本の人材のスキル不足は深刻
(1)の給与についてTorrens氏の解説を紹介する。
調査によると、「データサイエンティスト」「AI(人工知能)グローバルソリューションアーキテクチャー」「サイバーセキュリティコンサルタント」「EC(電子商取引)担当責任者」「デジタル化担当責任者」の5つのIT職種の給与で、日本がトップのものはない。デジタル化担当責任者とEC担当責任者は中国の半分以下、データサイエンティストとAIグローバルソリューションアーキテクチャー、サイバーセキュリティコンサルタントの3つもシンガポールの後塵を拝している。
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幹部クラスの給与も同じだ。「人事担当シニアバイスプレジデント」「カントリーマネージャー(製薬)」「研究担当責任者(製薬)」は中国の半分以下。「CIO(最高情報責任者)」も半分程度で、「CFO(最高財務責任者)」も中国、シンガポール、香港に次ぐレベルとなっている。
中でも人事担当シニアバイスプレジデントが低い点は「気になるところ」とTorrens氏。「人事担当は採用、能力開発、スキルアップなど他の所にも波及効果を及ぼす」からだ。
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