情報処理推進機構(IPA)は8月17日、「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2021年版)」を公開した。それによると、「DX先行企業」の2021年の割合は17.7%で、2020年の8.5%から約2倍に増えていた。
レポートは、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業が、経済産業省作成の35項目の定性指標に基づいてDX推進状況を自己分析した結果を分析したもの。2019年から公開しており、分析対象の診断件数は2019年が248件、2020年が307件、2021年は486件と増えている。
成熟度分類での割合(出典:IPA)
2021年における自己診断企業のDX成熟度の平均値は1.95で、2020年から0.35ポイント増え、IPAは全体としてDXが進展していると指摘する。成熟度を6段階に分類した割合では、「全社戦略に基づく部門横断的推進」(レベル3)、「全社戦略に基づく持続的実施」(レベル4)、「グローバル市場におけるデジタル企業」(レベル5)を合計した「DX先行企業」は17.7%で、2020年の8.5%から約2倍に、2019年の4.4%からは約4倍に増加していた。
一方で、「未実施」(レベル0)は19.1%、「一部での散発的な実施」(レベル1)は35.4%、「一部での戦略的な実施」(レベル2)は27.4%と、約半数の企業はDXを戦略的に推進できていない実態も分かった。
「DX先行企業」と非先行企業での指標別の平均成熟度(出典:IPA)
35項目の定性指標の中で、成熟度の高い上位5項目は「プライバシー、データセキュリティ」(2.56)、「危機感とビジョン実現の必要性の共有」(2.25)、「事業への落とし込み」(2.24)、「人材確保」(2.24)、「IT資産の分析・評価」(2.20)だった。成熟度の低い下位5項目は「人材育成・確保」(1.69)、「バリューチェーンワイド」(1.67)、「技術を支える人材」(1.63)、「評価」(1.61)、「事業部門における人材」(1.56)だった。
IPAによれば、「プライバシー、データセキュリティ」の重要性が社会的に浸透していると見られることから全項目の中で成熟度が特に高いという。また、下位5項目では人材に関する項目が目立ち、人材育成に関する取り組みで戦略を立案できていない企業が比較的多いとしている。ただ、上位5項目に「人材確保」が含まれていることから、IT部門を設置しているものの人材のプロファイルや数値目標の整備が追い付いていないか、定義することが難しいことが示唆されるという。
2019~2021年における指標別の平均成熟度の変化(出典:IPA)