メールのなりすまし対策とマーケティング効果を両立する「BIMI」とは

國谷武史 (編集部)

2022-09-08 06:30

 メールは現在も重要なコミュニケーション手段の1つだが、依然としてフィッシング攻撃に悪用されるなどの脅威への対応が課題になっている。このために開発された「Brand Indicators for Message Identification」(BIMI)の導入が企業で広まり始めた。

 BIMIは、メールの送信ドメイン認証技術「Domain-based Message Authentication Reporting and Conformance」(DMARC)を利用して、正規の送信者が所有するブランドロゴ画像を、BIMIに対応したメールアプリケーションの受信箱に表示する機能になる。BIMIを使用している場合、送信者は受信者に対して真正性を証明でき、受信者もひと目でメールの送信者が本物だと分かるため、安心してメールを開封できるようになる効果が期待される。

BIMIによって表示される送信者のブランドロゴ(出典:TwoFive)
BIMIによって表示される送信者のブランドロゴ(出典:TwoFive)

 BIMIは、GoogleやMailchimp、Fastmail、Proofpoint、Twilio SendGrid、Validity、Valimail、Verizon Mediaなどの企業が連携する「AuthIndicators Working Group」が開発した。Googleが2021年7月にGmailをBIMIに対応させるなど、まずは海外で導入が先行し、Appleが2022年秋にリリース予定の「iOS 16」でもサポートされる見込みだ。メールセキュリティサービスのTwoFiveによれば、国内でも同社や楽天が導入済みで、9月6日にはヤフーもフィッシングメール対策を目的にBIMIの導入を発表した

 BIMIの意義についてTwoFiveの加瀬正樹氏は、「DMARCの結果を利用した正当性、受信者が瞬時に判別可能な視認性、ドメインオーナーのブランド所有の証明の3つがある。メールセキュリティ技術のDMARCの普及推進のために開発されたが、メールの開封率や成約率などの向上といったマーケティング効果も副次的に期待される」と解説する。

 このようにBIMIは、実在する正当な組織がメールを送信していることを視覚的に分かりやすく証明することができる手段だが、導入には第三者機関での厳格な審査といったプロセスを伴うという。

BIMIの仕組み(出典:TwoFive)
BIMIの仕組み(出典:TwoFive)

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI を活用した革新的な事例 56 選 課題と解決方法を一挙紹介

  2. ビジネスアプリケーション

    生成 AI の可能性を最大限に引き出すためにできること—AI インフラストラクチャの戦略ガイド

  3. ビジネスアプリケーション

    業務マニュアル作成の課題を一気に解決へ─AIが実現する確認と修正だけで完了する新たなアプローチ

  4. ビジネスアプリケーション

    調査結果が示す「生成 AI 」活用によるソフトウェア開発の現状、ツール選定のポイントも解説

  5. ビジネスアプリケーション

    ITSMに取り組むすべての人へ、概要からツールによる実践まで解説、「ITSMクイックスタートガイド」

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]