松岡功の一言もの申す

東京都のDX推進は区市町村に浸透するか

松岡功

2022-09-15 10:15

 東京都がデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の強化策を打ち出した。その中で筆者が注目したのは、都内の区市町村との「協働」を掲げている点だ。うまくいけば全国自治体のロールモデルにもなり得るのではないか。

東京都が「東京のDX推進強化に向けた新たな展開」を発表

 東京都が9月9日、都内の区市町村を合わせた東京全体のDX推進を強化する方針や展開を打ち出した「東京のDX推進強化に向けた新たな展開」を発表した。その内容については、東京都デジタルサービス局がPDF資料として公開しているので参照いただくとして、本稿ではその中で、今後、全国自治体の取り組みにも影響を与えそうな「区市町村との協働」に注目して考察したい。

 まずは発表内容のポイントを挙げておこう。

 東京都は2019年度以降、デジタル化を進めており、行政手続きや内部事務をはじめ、都庁としてさまざまな取り組みを行ってきた。しかし、東京全体のDXへの道のりにはまだまだ課題が多い。今回の発表では次の5つの課題を挙げた。

  1. デジタル化に関する都民の満足度はいまだに低い。
  2. DXの担い手となるデジタル人材が大幅に不足。
  3. 今後、爆増するデジタルサービスの品質確保。
  4. 都庁の仕事を支えるシステム基盤の連携と効率化。
  5. 区市町村でもデジタル化を進める人材・ノウハウの充実。

 こうした課題に対応するため、東京都は「これまでの延長線上ではない新たな仕掛けで政策イノベーションを起こす」との決意で、図1の上段に示した4つの方針を打ち出した。そして、都と区市町村を含めた東京全体のDXを効果的に進めるための新たな活動団体として「GovTech東京」を2023年に設立することを明らかにした。

図1:新団体「GovTech東京」設立構想の背景(出典:東京都「東京のDX推進強化に向けた新たな展開」発表資料)
図1:新団体「GovTech東京」設立構想の背景(出典:東京都「東京のDX推進強化に向けた新たな展開」発表資料)

 この新団体は設立後、東京都デジタルサービス局と協働し、図2の下段に示した「都庁各局DX」「区市町村DX」「デジタル基盤強化・共通化」「デジタル人材確保・育成」「データ利活用推進」「官民共創・新サービス創出」といった6つの活動を進めていく計画だ。新団体としては、「一つ一つの取り組みの成功を礎に、信頼を得ながら、機能を発揮していく」との構えだ。

図2:GovTech東京の活動内容(出典:東京都「東京のDX推進強化に向けた新たな展開」発表資料)
図2:GovTech東京の活動内容(出典:東京都「東京のDX推進強化に向けた新たな展開」発表資料)

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]