多くの企業でサステナビリティーが重要な課題として浮上しているが、ITのサステナビリティーに関しては、活動を支援してくれる存在を見つけることや、プロジェクトを始めること自体がいまだに難しい。
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IT業界を専門とする調査会社のGartnerは、今後数年間は、企業の優先課題トップ3にサステナビリティーが数えられるようになると予想している。その変化の大きな要因は、消費者(80%)や規制当局(55%)からの圧力だ。
企業の取り組みが求めらると予想される主な領域の1つが、技術利用のサステナビリティーを向上させることだ。IT業界の温室効果ガス排出量は世界全体の排出量の約4%を占めていると推定されており、中でも排出量が多いのはデータセンターで、その半分近くを占めているという。
ビジネスリーダーがITのサステナビリティーに取り組もうとすれば、ITリソースがどのように消費されており、その利用が環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する目標の達成にどのような影響を与えるかについての詳しい知識が必要になる。
一方、企業のITリーダーは、前向きの行動を取るためにはそのようなデータに基づく知見が重要になるものの、IT企業がサステナブルな形でリソースを提供するために行っている努力を深く理解するには困難が伴うと考えている。
英国の住宅金融組合であるLeeds Building SocietyのシニアプラットフォームマネージャーMark O'Brien氏によれば、同組合では、効率的で効果的な技術運用への移行を進めるためのさまざまな計画に取り組んでいるという。同組合の取り組みには、サステナブルな方法での資産の処分から、ITリソースの整理統合、DynatraceのAIOps技術の利用までさまざまなものが含まれている。
これらの取り組みの方向性は正しい。しかしO'Brien氏は、企業や団体がこうした目標を単独で実現することは不可能であり、ITベンダーがサステナビリティーに関する取り組みを進める組織の支援に、より積極的な役割を果たすべきだと考えている。
「私は、IT業界にはもっとできることがあると考えている」と同氏は言う。
「非常によい取り組みがいくつか登場しているのは確かだが、それは主にハードウェアや機器や、資産の廃棄などの分野の話だ。私はまた、SaaSプロバイダーがサステナビリティーに関してどのような努力をしているかを示すのが非常に難しいことも理解している」
PepsiCoの最高戦略・変革責任者であるAthina Kanioura氏もそれに似た考えを持っている。同氏によれば、使用しているITリソースが二酸化炭素の排出に与える影響について、企業がよりよく理解できるように、ITベンダーが支援すべきだという。
同氏は、多くのプロバイダーが、どうすればその悪影響について説明できるかを模索している最中だと考えている。
「それをやらないのは、やりたくないからではない。どこから始めればいいかが分からないからだ」と同氏は言う。