日立ソリューションズは3月9日、女性従業員が月経や更年期障害などの健康課題を専門家に相談できる「リシテア/女性活躍支援サービス」を同22日から提供すると発表した。同サービスにより、女性従業員が本来のパフォーマンスを発揮したり、「不調や不安があれば相談できる」という心理的安全を確保したりすることを目指している。
リシテア/女性活躍支援サービスでは、女性従業員がビデオ通話で医療法人葵鐘会(きしょうかい)に所属する看護師や助産師に女性特有の健康課題に関して相談できる。同サービスは利用者のプライバシーを尊重しており、会社を通すことなく相談予約ができるほか、相談内容は原則社内には共有されない(図1)。
図1:リシテア/女性活躍支援サービスの利用イメージ
例えば、「月経が近くなると、社内や通勤途中など場所を問わず、涙が出続けてしまう」という悩みを抱えている女性従業員の場合、相談を受けた看護師は「抑うつやいら立ちなどの症状が見られる『月経前症候群』(PMS)ではないか」と提言し、食生活の見直しや症状を軽減させる低容量ピルの服用などをアドバイスする。
健康課題を抱えながら働く上では、周りの従業員の理解も必須である。男性従業員のほか、月経や更年期障害は個人によって程度や症状が異なる分、女性従業員も正しい知識を持つことが求められる。同サービスでは、相談機能に加え、オンラインセミナーやコンテンツも提供することで、社内全体での「ヘルスリテラシー」向上を図る。
セミナーのテーマや開催回数、視聴者の範囲について、同日開催の説明会に登壇したスマートライフソリューション事業部 ワークスタイルイノベーション本部長の小山善直氏は「社内でサービスを試行したが、まだ検討の余地がある。3カ月に1回ほどのペースでさまざまなテーマを扱い、セミナーはアーカイブにしていつでも見られるようにする方向で考えている」と説明した。
導入効果を測定するレポート機能も提供し、サービスの利用回数を可視化するほか、日立ソリューションズが導入企業に伴走する形でサービスの利用推進に取り組む。
リシテア/女性活躍支援サービスは、同社の人事統合ソリューション「リシテア」内の新サービスとして提供される。そのため、同サービスを就業管理やエンゲージメント関連のサービスと連携させ、従業員のパフォーマンスやエンゲージメントへの影響を可視化することも検討している。一方、プライバシーへの配慮も必須のため、相談回数のみを記録したり、看護師や助産師と相談し、範囲を限定して症状を共有したりすることが考えられるという。
スマートライフソリューション事業部 ワークスタイルイノベーション本部の平田文香氏は「私自身もPMSに伴う精神的な不調を抱えている。私の場合、そうした不調が月経前の症状であると気付くのに数年かかった。もっと早く病院に行っていたら、もっと早く看護師さんとお話ししてPMSの存在を早く知っていたら、つらい思いをする期間を短くできたのではないかと今でも思っている」と率直な思いを述べた。