「彼らは本当に変わった。開発力はもちろん、調査や分析力、プレゼンテーション力など、すべてにおいて見違えるほどに成長した。この成長だけでもImagine Cupに参加した意義がある」。こう語るのは、Imagine Cupのソフトウェアデザイン部門に2年連続日本代表として参加したチームNISLab++のメンターを務める同志社大学 理工学部情報システムデザイン学科 専任講師の小板隆浩氏だ。2008年に引き続き、2009年も残念ながら一次審査にて敗退してしまったNISLab++だが、この2年で彼らの得たものは大きい。
NISLab++のメンバー。左から、門脇恒平氏、前山晋哉氏、中島申詞氏、加藤宏樹氏
昨年からのメンバー加藤宏樹氏。今年はデモのトラブルもなく、出来は「80点以上」と自己採点2008年のImagine Cupパリ大会での悔しい思いから「来年こそ」と意欲的に準備を進めてきたNISLab++は、小板氏の下で学ぶ同志社大学の大学院生を中心としたメンバーだ。2年連続で出場する中島申詞氏、前山晋哉氏、加藤宏樹氏と、昨年の彼らの活躍を見て「自分も参加したい」と強い思いを抱きメンバーに加わった門脇恒平氏の4人は、パリ大会終了後からすぐにエジプト大会に向けて活動を始めていた。昨年は「実は本格的に力を入れ始めたのは日本大会に優勝してからだった」と話していた彼らにとって、最初から世界大会を視野に入れていたことからも、彼らの本気度がわかる。
本気で取り組むメンバーの姿に、メンターの小板氏も「今回は安心して見ていられた。昨年は私がサポートしないとどうしようもない面も多かったが、今年はみんな自主的にプロジェクトを進めた」と話す。「普通の大学院生活を送っていただけではこの成長は見られなかっただろう」と小板氏が感じるほど、彼らの成長は大きかった。
2年連続でプレゼンテーションを担当した前山晋哉氏それでも世界の壁は厚かった。NISLab++の作品「Polybooks」は、無償の教科書コンテンツを電子データで提供し、教科書のコストを下げようとするもので、作品の完成度やプレゼンテーション、デモの出来なども、明らかに昨年を上回っていた。こうして全力を出し切って戦った彼らだが、それでもベスト12チームに選ばれることはなかった。
学生時代にImagine Cupのソフトウェアデザイン部門に参戦し、世界大会でベスト6まで進んだ経験を持つ東京大学 知の構造化センター 特任助教授の中山浩太郎氏は、今回のImagine Cup世界大会で審査員を務めた1人だ。合計18作品を審査した中山氏は、NISLab++について「勝てない勝負ではなかった」と述べ、今回NISLab++がベスト12に選ばれなかったのもわずかな差だったろうとしている。
上位に残ったチームについて中山氏は、「技術力はもちろんだが、ビジネスプランや作品の完成度、今回のテーマである国連のミレニアム開発目標に沿っているか、プレゼンテーションがうまくできているかなど、すべての審査基準をまんべんなく満たしているチームが残っていた」と話す。「アイデアがすばらしくても、完成度があと一歩だったりうまくプレゼンテーションできなかったりすると、審査員には伝わらない。それをすべて押さえられたかどうかだ。NISLab++も決して悪くなかった」(中山氏)
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