アウトソーシングは、これまで欧米特有のビジネスモデルと考えられてきたが、昨今、日本国内のビジネスでも急速に定着するようになっている。これは、人材不足に直面する日本企業の経営幹部が、専門性の高いスキルを備えた外部スタッフによって、自社の労働力を補う手段としてアウトソーシングの重要性が理解されるようになったからだ。
また同時に、アウトソーシングを戦略として活用することで、多くの効果が得られることも明確に認識され始めている。アウトソーシングによって品質の標準化が促進され、従業員がより優先度の高い中核業務に注力できる環境がもたらされることで、企業にとっては事業戦略を成功へと推進する効果的な手法となり得る。
数年前まで、アウトソーシングという概念を受け入れることに躊躇する傾向が日本企業に見られたのは、主に2つの理由によるものだった。1つは、社外に委託するよりも大半の業務を社内で処理することで、品質を維持しようという方針のためだ。もう1つは、労働力コストの差を活用したコスト削減の手法が、日本の雇用慣行には馴染まないと考えられていたからだ。
だが、経済発展の鈍化、労働人口の高齢化、IT関連分野を専攻とする大卒者層の減少など、企業がかつて経験したことのないさまざまな要因に直面することで、経営幹部はこうした状況への対応策を真剣に再考し始めるようになっている。
アウトソーシングは、従業員を中核業務に専念させることで、自社のテクノロジとビジネスプロセスの向上、そしてイノベーションが推進できる一方、経営コストの削減にも効果的な手段となっている。そのためには、従来のアウトソーシング契約のあり方を一新させ、適切なビジネス能力(ケイパビリティ)をバランスよく備えたアウトソーシングプロバイダーを選択することが、これらを成功させるための重要な鍵となっていることは明らかである。
理想的なアウトソーシングは、正社員を確保しながら柔軟性の高い人材プールへのアクセスを可能にし、企業のIT、そしてビジネスプロセスの向上をもたらすことが重要となってくる。そのアプローチとしては、大きく分けて(1)人材活用の最適化、(2)価値創出業務への従業員の再配置、(3)協働(コ・ソーシング)契約――という3つが挙げられる。
企業の多くは、専門的スキルを有した契約社員によって必要な人材を補っている。そのため、人材派遣会社への支払経費が人件費の75%にも上る場合さえあるといわれている。しかし、戦略的なアウトソーシングを導入すれば、数社の人材派遣会社と個別契約を結ばなくても、最適なグローバルソーシングモデルに則した業務遂行を、1社のアウトソーシングプロバイダーに託すことができるようになる。調査会社の米Forrester Researchは、日本企業は人材の調達先を入念に絞り込むことにより、プロバイダーとの強固な信頼関係を確立しつつ、業務プロセスの精度を高め、一貫した管理体制を構築できるという見解を明らかにしている。
アウトソーシングを導入し、定型化した業務、つまり非中核業務を外部へ委託すると、従業員の業務姿勢にも変化が見られるようになる。有能な従業員のコアコンピテンシを活かし、研究開発などのまったく新しい分野に配置することもできるようになる。また、企業により高い価値をもたらすような業務を担当させることで、従業員の意欲を刺激し、モチベーションを高めることも可能となる。
自社のITとビジネスプロセスを向上させるために、企業はアウトソーシングプロバイダーと自社の双方から必要な人材を集め、コ・ソーシング組織を編成することが可能だ。こうした手法を通じて、企業はアウトソーシング・プロバイダーの熟練スタッフを活用しつつ、自社の従業員にはITとビジネスプロセスに関する研修の機会を与え、スキルを高めることができる。コ・ソーシングの契約期間満了時には、契約を延長するか、もしくは従業員を自社に戻し、習得した知識や情報を自社に還元するのか、どちらかを選択することができるというメリットをもたらすこともできる。
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