アクセンチュアは6月19日、日本を含む22カ国を対象とした政府の顧客サービス成熟度調査を実施。その調査レポート「Leadership in Customer Service:Delivering on the Promise(顧客サービスにおけるリーダーシップ:約束の実現)」を発表した。調査結果では、日本は22カ国中で10位となっている。
同レポートは、Accentureが米国時間6月18日に発表したもの。今年で8回目となるこの調査では、オンラインサービス調査、国民調査、政府高官への聞き取りの3つの調査が行われた。国民調査では、各国から任意に選出された18歳以上の約9000人の市民に聞き取りを実施。日本では400人に電話アンケートを行っている。
調査対象は、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、日本、マレーシア、オランダ、ノルウエー、ポーランド、ポルトガル、シンガポール、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、米国、英国の22カ国。調査は2007年1月に行われた。
評価の視点としては、政府のオンラインサービスの提供レベルを測定する「サービスの成熟度」「顧客サービス成熟度」「国民の声」の大きく3つ。サービスの成熟度が10%、顧客サービス成熟度が50%、国民の声が40%の加重で評価。顧客サービス成熟度では、「サービスの実現が国民中心のものか」「多チャンネルになっているか」「政府全体の横断的なものか」「積極的なコミュニケーションや啓蒙活動はあるか」の4つが評価されている。
前回調査では、日本は総合5位だったが、今回の調査では日本は総合10位に順位を下げている。この理由を官公庁本部 エグゼクティブ・パートナーの後藤浩氏は、「日本はオンラインサービスの整備状況では上位に位置するが、利用が促進されていないため、多チャンネル化による効率的な顧客サービスに結びついていないことが大きな要因」と話す。
また前回の調査では。サービスの成熟度の加重が50%だったが、今回は10%となっていることも日本が順位を下げた理由のひとつ。調査のポイントがサービスのオンライン化から、いかにサービスを利用してもらうかに移り変わっていることがうかがえる。ちなみに、総合1位はシンガポール、2位はカナダ、3位は米国だった。
シンガポールと日本の差を後藤氏は、「日本は96%が行政機関の窓口を利用しており、インターネットの利用は5%に過ぎなかった。一方、シンガポールでは、窓口が31%、インターネットが37%、電話が55%と、オンラインチャンネルの利用が進んでいる」と話している。
「日本は、96%が行政機関の窓口を利用するという偏った状況を改善することが必要。すでに整備されているオンラインサービスの利用率を向上させることで、効率的な顧客サービスを提供できる仕組みを構築すべきだろう」(後藤氏)