財団法人日本情報処理開発協会(JIPDEC)は4月18日、BtoB(企業間取引)における電子商取引(EC)導入効果評価モデルに関しての調査研究を行い、報告書をまとめた。
調査の結果、日本企業のEC導入は、低付加価値業務を対象に、電子化・自動化を進めることにより、業務効率化を進めることを狙いとした事例が多いと評価された。
また、ECの評価に関しては、バランス・スコアカード(BSC)などを用いて多面的な視点から評価を実施している企業と、財務もしくは業務プロセスなどの一部の視点に限定して評価を実施している企業に二分化されると報告された。
日米の比較では、ECの調達部門に関する両国間の差異は認められなかった。一方、販売に関しては日本は米国企業よりも戦略的に活用するケースが少なく、経営陣がECに関わる度合いや、明確な戦略的目的を持ったEC導入効果に対する継続的な評価の実施状況が乏しいと判明した。
またJIPDECでは、今回の調査研究の結果を踏まえ、ECの導入効果は業界ごとに異なるため、業界ごとに評価指標を取りまとめることを提言。ITインフラの共同利用や業界共通の標準化など、業界全体で効率化を推進するよう求めている。
一方、企業に対しては、企業戦略とECとの連携強化を経営レベルで進めることや、導入効果のモニタリングによる、EC評価モデルの継続的なを活用を提案している。
今回の調査研究は、次世代電子商取引推進協議会(ECOM)とアクセンチュアが協力。ECOMは、学識経験者、ECOM会員企業および有識者を中心に、IT利活用ワーキンググループを設置し、日米78のEC事例の簡易調査を実施。
その結果とアクセンチュアの各種調査資料から、評価モデルの初期仮説を構築した。さらに、日米企業の14の先進事例について詳細なインタビュー調査の結果をもとに初期仮説の内容を精査し、最終的な評価モデルを構築した。