大河原克行のエンプラ徒然

2012年の最大の目玉製品「Windows 8」は売れているのか

大河原克行

2012-12-31 23:00


日本マイクロソフトの樋口泰行社長
Windows 8発売前夜祭、聴衆にWindows 8をアピールした日本マイクロソフトの樋口泰行社長

 2012年の最大の目玉製品といわれたのが「Windows 8」だった。

 だが、Windows 8の売れ行きは、果たして好調なのか?

 その答えは、決して手放しで評価できるものではないといえよう。

 というのも、12月の年末商戦が終わっても、依然としてWindows 7の構成比が高いからだ。

 BCNの調べによると、10月26日の発売日を含む10月22日〜12月23日までのWindows 8搭載PCおよびWindows RT搭載PCの構成比は25.8%と全体の4分の1。これに対して、Windows 7搭載PCの構成は67.7%と3分の2を占めている。

 この数値からも、Windows 8搭載PCは決して売れているとはいえないだろう。

 最新週となる12月17日〜23日の集計では、Windows 8搭載PCとWindows RT搭載PCの構成比は52.8%と過半数に達し、ようやく売れ筋の中心となってきた。その一方で、Windows 7搭載PCは依然として39.3%の構成比となり、3分の1以上を占めている。PCメーカーでは現時点でもWindows 7搭載PCを生産しており、これもWindows 8への移行がなかなか進まない理由のひとつとなっている。

パソコン販売台数の前年同週比推移
パソコン販売台数の前年同週比推移(出典:BCN)

 しかし、Windows 7の広がりがWindows 8の普及のベースになるという見方をすればどうであろうか。そうしてみると、もう少し前向きに捉えることができよう。

 現在、日本マイクロソフトはWindows 7搭載PCを購入したユーザーを対象に、2013年2月28日までに専用サイトで手続きするとWindows 8へのアップグレード版を特別価格で提供する「Windows 8 優待購入プログラム」を展開中。これを利用すれば、Windows 8に低価格でアップグレードできるからだ。

 そのキャンペーン価格は「1200円」と破格だ。

 さらに、現在Windows 7を所有しているユーザーに対しても、Windows 8にアップグレードできるキャンペーンを実施。このキャンペーンではパッケージ版の価格が6090円。ネットでのダウンロードでは3300円と、やはりこれまでのWindowsでは考えられない価格を設定しているのだ。

 このキャンペーンを利用して、どれだけのユーザーがWindows 8を入手しているのか——。その数値を日本マイクロソフトは明らかにしていないが、これもWindows 8の潜在ユーザーとして捉えることができよう。

 しかし、Windows 8の登場は、販売拡大の原動力になっているとはいえない。

 BCNによると、10月22日〜12月23日までのPCの販売台数は対前年同期比7.7%減。Windows 8が発売になっても、PC市場は決して上向いてはいないのだ。

 ノートPCの減少幅は3.3%減だが、タッチ機能のメリットが打ち出しやすいデスクトップPCは23.5%減と前年実績を大幅に下回る結果。週次の集計では、デスクトップPCはWindows 8の発売以降、前年実績を下回り続けている。

 また、PC全体でも11月12日〜18日の集計で前年同期比9.8%減と前年割れとなってから、最終週まで6週連続の前年割れ。公務員のボーナス支給後の年末商戦本格後も、前年実績を上回ってはいない。

 この点でも、Windows 8は決して売れているとはいえないだろう。

 日本マイクロソフトでは、Windows 8の発売前までに露出を極力控え、発売以降、一気にマーケティング攻勢をかけるという手の打ち方をしてきた。そのため、発売日に認知度をピークに持っていくという「垂直立ち上げ」にはつながりにくいという状況にあった。

 それが、この年末商戦での低迷にもつながっているともいえる。

 日本マイクロソフトでは、Windows 8へのアップグレードキャンペーンに加えて、今後Windows 8の認知度向上に向けた施策を加速させる考えだ。また、タッチ機能に対応していないWindows 7搭載PCでも、Windows 8ならではのタッチ機能に対応できるように、周辺機器との組み合わせによる提案なども進める予定だという。

 2013年にWindows 8はどれだけ巻き返すことができるのか。2013年の日本マイクロソフトのマーケティング施策が気になるところだ。

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