クラウド自動化ツールでTCOの約23%を削減可能--4年間で1億6000万円相当

田中好伸 (編集部)

2011-11-15 12:18

 アイ・ティ・アール(ITR)は11月15日、クラウド管理の自動化に関するコスト試算の調査結果の詳細をまとめたホワイトペーパー「クラウド管理の自動化による投資効果」(PDF)を公開した。

 プライベートクラウドについてITRは、企業グループや産業界、特定のサプライチェーンといった閉じたネットワーク上で、クイックスタートやオンデマンドなどのクラウドの価値を取り込むことでITの競争力を向上させられると説明。だが、旧来のシステム基盤とクラウド基盤では、技術面の隔たりが大きく、現行環境をクラウド基盤に仕立て直しただけでは、かえって運用負荷の増大や非効率を招くことも少なくないとし、プライベートクラウドを成功させる上で、運用の効率化やコスト抑制を図ることが課題となっていると指摘する。

 こうしたことから同社は、従業員1万人規模の大手製造業グループで情報系サーバ500台を保有するというモデルをもとに、クラウド向け自動化ツールが総称有コスト(TCO、初期コストや運用コスト、機会損失など)に与える影響の算出を試みている。試算では、CA Technologiesの「CA Automation Suite」を活用した。

 手動と自動の管理形態をシミュレーションしたシナリオ分析の結果、自動化ツールの導入企業は、非導入企業に比べて4年間の累積TCOで1億6000万円に相当する約23%のコストを低減する結果になったという。災害復旧を伴う非常時のシミュレーション結果では、3億2000万円に相当する約25%低減することが示されたとしている。

 自動化ツールは、新規に構築し、保守サポートを受ける必要があることから、ハードウェアやソフトウェアのコストはそれなりに必要になるが、それらを織り込んでもTCOが削減されることが明らかになったと説明。このことを受けて、一定規模のクラウド環境の構築や運用を手掛ける組織は、既存環境からの移行、新規の仮想マシンの立ち上げに伴うプロビジョニングの工数削減に着目して、自動化ツールの投資効果を検証することが有益と提唱する。投資効果の最大化を見据えて、災害復旧を含めた機会損失コストを視野に入れることが必要とも主張している。

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