大企業ではプライベートクラウド活用などに伴い、IT運用管理への注目度が再び高まっている。
仮想化環境は物理環境のみの状況と比べれば複雑さが増すため、プール化されたITリソースを効率的に活用するにはプロビジョニングやデプロイメントの作業を標準化、自動化することも必要だ。その際には運用管理システムが重要な役割を果たす。
一方で、中堅中小企業においても運用管理システムは注目すべきカテゴリだ。
2010年はWindows 7登場に伴うPCリプレースが盛んになり、それを契機としてPC運用管理を見直す取り組みが今年も継続している。データ量が少ないにも関わらず乱立してしまったファイルサーバをどう管理するかといった課題もある。USBメモリ、メール添付、ファイル共有、印刷など、さまざまな経路が存在する情報漏えいも頭の痛い問題だ。
中堅中小企業は大企業と比べてITリソースの規模は小さいが、抱えているIT運用管理の課題は数多い。それを解決する手段として運用管理システムへの関心が高まっているのだ。しかし、間違った運用管理システムを導入すれば、逆に負担を増大させることにもなりかねない。
そこで、本稿では中堅中小企業におけるIT運用管理の実態と課題を俯瞰し、解決へとつながる運用管理システム選択のポイントを探っていく。
中堅中小企業におけるIT運用管理の現状
まず中堅中小企業におけるIT運用管理の現状を確認しておこう。以下のグラフは年商500億円未満の中堅中小企業1000社に対して「IT運用管理に携わる人員規模」をたずねた結果である。
何らかのかたちでIT運用管理を担う役割が設けられた状態が多くを占めるのは、年商50億円以上のユーザー企業層であることがわかる。年商5億円以上~50億円未満であれば、各種の業務システムが少なからず導入されている年商帯だ。にもかかわらず、IT運用管理を担当する社員が決まっていないと回答するユーザー企業が30%存在しているのである。