このJAポイントシステムは、2009年4月より本稼働に入っている。今後の目標として佐藤氏は、まずポイントシステム自体の利用者拡大を挙げる。2012年度末までに全国で500万人の加入を目指すという。
また、機能面では、インターネットからのポイント残高、履歴照会、還元の申し込みを可能とするほか、還元メニューの充実、事業体や県をまたいだポイントの付与や還元、クレジットカード取引情報を利用したポイント付与などを検討しているとする。
加えて、今回のポイントシステムを起点とした、JAグループの持つITシステム全体のリフォームも視野に入れているという。
JA事業体別や各県別の個別処理から、標準化可能な業務について全国標準のシステムを共同利用する形に移行することで、情報システム部門自体の機能を変化させていきたいとする。
佐藤氏は、今後のJAグループの情報システムのあり方について「JA全中や各県の電算センターが、ITベンダーや共同運用センターのPaaS基盤を利用して、各JAに業務処理サービスを提供するSaaS事業を展開。情報システム部門は、運用管理の機能を外に出し、業務システムの企画へと機能をシフトしていく」と表現している。
この形態が進めば、最終的に複数の業務別の共同運用センターが物理的に統合されることになる。統合された共同運用センターでは、資源の効率的な運用を図る必要があるため、結果的に複数のシステムおよび複数のユーザー向けにIT資源を(技術的に)仮想化して管理することになるだろう。
この時点で、共同運用センターはJAグループにおける「プライベートクラウドコンピューティング」を、技術的な側面からも具現化するものとなる。
佐藤氏は、ZDNet Japan編集長に対し「JAポイントシステムはプライベートクラウドではない」と述べている。今回の基調講演では、NIST(米国商務省国立標準技術研究所)によるクラウドコンピューティングの定義をひき、個別の要件を列挙しながら、「アバウトな定義でいけば“クラウド”と呼べるかもしれないが、(課金形態や仮想化技術の採用など)個別の要件から見ると“クラウド”には当てはまらない」と、その根拠を説明した。
そして、このグループ内データセンターの形態を「プライベートクラウドと呼ぶかどうかには無関心」であるとも言い切る。その本質は、バズワードや技術論に振り回されることなく、コスト削減や業務の効率化、運用管理のアウトソースによるEDP部門の役割の変化といった改革を、情報システムの視点で考え、実現している点にあるのではないだろうか。
佐藤氏は、「システム基盤はITに詳しいベンダーのPaaSと後方支援に期待し、企業内EDP部門は業務システム設計に強みを持つ“クロウト(玄人)コンピューティング屋”へ進化していくべきではないだろうか」と述べ、講演を締めくくった。
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