Enterprise 2.0のツールのうち、極めて重要にも関わらず、意外と軽視されやすいのがインスタントメッセンジャーだ。古くからあるツールだけに、偏見も多い。外資系の企業では、本社と時差を超えてやりとりする手段として必然的に使われているが、国内企業では特に嫌われる傾向が強いようだ。
嫌われる理由は、社員が遊んでいるようなイメージがあることだ。確かに一昔前のチャットソフトなどでは、無駄話や上司の陰口に使われるといった負のイメージもある。しかし、インスタントメッセンジャーは、正しく使えば最も効率的なコミュニケーション手段であり、ファイル共有手段でもあり、さらに知識の共有や蓄積の手段であると同時に、討論の手段でもあり、部門の壁を越えて社内の風通しをよくする手段にもなりえる。そういう意味では、チャットと企業内インスタントメッセージングは、機能面ではほとんど変わらないにも関わらず、対極にあるアプリケーションと言えるかもしれない。
まずは誤解を解くべく、Enterprise 2.0時代のインスタントメッセンジャーの新しい認識、そして使い方について簡単に解説しよう。
マイクロソフトが提供する企業向けインスタントメッセンジャーの「Office Communicator 2005」。暗号化機能や不在時メッセージの受信、携帯電話との連携など、柔軟で確実なコミュニケーションに重点を置いている。コミュニケーションの手段といえば、今でも電子メールが王道と思われがちだが、最近では迷惑メールの増加などで重要なメッセージが埋もれやすい。また、メールではちょっとした用件を伝えるためにも、宛先を入力し、件名を書き、できればちょっとした挨拶から書き始める。これでは時間的にも精神的にもコストがかかり、なかなか気軽に利用できない。これに対してインスタントメッセンジャーは、慣れてくるといきなり用件から書き出すことができ、精神的負担が低い。
インスタントメッセンジャーでも、まずは挨拶が必要だと思う人も多いかもしれない。しかし、ここでちょっと発想を変えると急に世界が開けてくる。
相手がそこにいると思って返事を求めてしまうと、挨拶が必要になるばかりか、メッセージを受け取った相手にも「すぐに答えなければならない」という精神的負担を抱かせることになる。ほかの仕事を中断してまですぐに答えようとするから、仕事が滞り、インスタントメッセンジャーを使うことへの精神的負担も大きくなる。しかし、送る側が「これは相手への書き置きなんだ」と思って書き込めば、受け手も時間に余裕ができたタイミングで返事をするようになり、精神的重荷が軽減され、効率的かつ埋もれないコミュニケーションが実現する。
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