ここまで述べた後、Stallman氏は再度インターネット上での共有を合法にする必要性を訴えた。
レコード会社は、共有は「ミュージシャンから盗むことだ」と反論するが、「これはバカバカしい主張だ。すでにミュージシャンはレコード会社から盗まれている」とStallman氏。多くのミュージシャンにとって主たる収益源はコンサートであり、CD販売から多額の売上げを得ているのは一部の成功したミュージシャンしかいない。
「レコード会社はミュージシャンが制作した音楽でもうけたお金を使って、無力なティーンエイジャーを訴えている。一掃されても構わない」とStallman氏は言い切る。
では、どうやってミュージシャンらアーティストをサポートしていくか。Stallman氏は2つの方法を提案する。
1つ目は税金による基金だ。CD販売やインターネットに課税してもよいし、一般税から割り当ててもよい。財源よりも重要なのは、基金をどのように使うかだ。人気に応じて分配されるべきだが、既存の仕組みとは別の方法があるという。
現在、スーパースターAがアーティストBよりも1000倍人気があるとき、リニアな比率であればAはBの1000倍を得ることになる。この場合、Aはものすごくリッチになるが、Bは生活に困窮する。Stallman氏はリニアな比率の代わりに、立方根を使うことを提案する。この場合、AはBの10倍だが、人気に応じて収入はあがる。「これなら、できるだけ多くのアーティストをサポートできる」と主張している。
2つ目は、ユーザーが自主的にアーティストに払う方法だ。すでに一部のアーティストが利用しているもので、ボタンを押せば1ユーロをアーティストに匿名で送金できるようにする。「作品がよいと思えば押す——感謝の気持ちを示すもので、これならたくさんの人がボタンを押すだろう」とStallman氏。この仕組みを導入し、ウェブサイトで楽曲を公開したカナダのシンガーソングライター Jane Siberry氏の場合、平均1ドル以上の送金があったという。これは、iTunes Storeで提供される楽曲の平均である99セントを上回っている。
「今よりもよい方法でアーティストをサポートできるはずだ」とStallman氏は言うが、これはあくまでも3つ目の芸術やエンターテインメント分野であって、1つ目の実用的なことをするための作品は4つの自由があるべきだ、と再度強調した。
Stallman氏は観衆からの質問に答える形で、SNSに関する自身の見解を次のように示した。
「ソーシャルネットワークの考え方そのものに異論はない。だが、さまざまな方法があり、それぞれに長所と短所がある」とStallman氏。問題は「ユーザーがプライベートで共有していると思って書いたり掲示した情報が、他の人にも見られる可能性があることだ」と指摘する。「倫理的なSNSは不可能ではない。“他の人にも公開されてしまう可能性があります。メッセージを送る前に2回考えよう”と警告してくれるような……」と述べた。「Facebookはやらないだろうがね……」(同氏)
そのFacebookについては、根底にある問題として「(Facebookの本当の)ユーザーは、サービスを利用するユーザーではなく、広告を出す企業なのだ」と指摘。「ユーザーのデータを活用することがビジネスモデル」となるため、「Facebookはあなた方の友達ではない」と述べた(会場からは拍手が起こった)。
プライバシーに厳しいドイツでは、Facebookが導入した顔認識技術を違法とするなど、何かとFacebookとプライバシーが話題となった。「私がここでスピーチすることは公式に発表されていることで秘密ではない。しかし、ここで撮影したわたしの写真をFacebookにアップロードしないでほしいし、大切だと思っている人の写真もアップロードするべきではない」とStallman氏が述べると、会場からはさらなる拍手が起こった。
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