買収戦略でシェアを拡大したインフォアの次なる狙いは?

梅田正隆(ロビンソン)

2009-01-09 08:00

 PE(Private Equity)ファームとのパートナーシップを背景にした積極的な買収戦略を展開し、今日の地位を築いたInfor Global Solutions (インフォア) 。業界ごとにエンド・トゥ・エンドのプロセスの地図を描き、そこに当てはまるソリューションを買収することによってシェアを拡大してきた。

業種特化のERP買収でカスタムを最小限に

「インフォアには、もともと一から開発して作り上げたソリューションがひとつもなかった。まず青写真を描き、その上にERPやSCM、CRMなどをすべてマッピングしていったのだ。ここが他社と大きく違う」

 こう語るのは、日本インフォア・グローバル・ソリューションズの執行役員であり、インダストリーソリューション・ビジネスコンサルティング本部本部長を務める笹俊文氏だ。

笹俊文氏 日本インフォア・グローバル・ソリューションズの笹俊文氏

 笹氏は「業種を超えて幅広く、横串で何でも対応できるようなERPは買収していない」と話す。SAPやOracleも買収を行っているが、インフォアの買収が異なっているのは、組立製造業、プロセス製造業、ロジスティックス、自動車業界、金融など、業種ごとに青写真を描き、その業種に特化して強みを発揮しているベンダーを買収してきたことだ。汎用的なERPではなく、例えば、極端な例としては「カジノ向けERP」「政府向けERP」といった特殊なソリューションを意図的に買う戦略である。

「汎用的なERPはどうしても痒いところに手が届かない部分があり、カスタマイゼーションが起こる。インフォアはそれぞれの業種に特化したERPを買っているため、カスタマイゼーションを最小限にでき、短期導入できる。これがバリューだ」(笹氏)

 そうしたERPに加え、低コストと短期導入を実現する「Infor Fast Start」も提供する。インフォア独自のテンプレートと導入メソドロジーにより、汎用ERPであれば導入に1年、費用が数億円かかっていたところを、導入におよそ6カ月、費用は数千万円で済ませることができる。ビジネスの変化にいかに早く対応させるかを重要視したソリューションという。

ビジネスと技術の両面でユーザーを支える

 インフォアが買収した個々の製品が特定分野で強いことは確かだ。しかし、気になるのは「全体」を俯瞰したときにどうなるのかである。個々のソリューションをどうマッピングし、ユーザーに提案するかが重要となるだろう。笹氏は「ビジネスと技術の両面でユーザーを支える必要がある」と話す。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

関連記事

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]