ABN Amro Bankは米国時間9月1日、総額22億ドル規模のITサービス契約を5社の企業と結んだと発表した。
オランダに本拠を置くABN Amro Bankによれば、契約期間は5年間で、同行の大半のサーバやストレージシステム、デスクトップ、プリンタ、PDAをIBMが国際的に保守管理し、インドのIT企業InfosysおよびTata Consultancy Servicesがアプリケーションサポートを提供することになるという。
さらにこれらの3社は、Accentureおよびインドのソフトウェアサービス企業Patni Computer Systemsと並んで、アプリケーション開発の優先サプライヤーとなる。ABN Amroのホールセールクライアント部門のITインフラストラクチャについては、2003年に締結されたアウトソーシング契約に従って、これまでどおりElectronic Data Systemsが保守管理を請け負う。
本契約を結んだことで、行内の整理統合およびITサービスの部分的な外部委託が実現し、2007年以降には7億3800万ドルに達するコスト削減効果が現れるだろうと、同行は話している。また、ABNの従業員のうち約2000名がアウトソーシングパートナー企業へ移籍し、その大半をIBMが引き受けることになるという。ABNはしかし、1500人の従業員が18カ月以内に解雇されるとも述べている。同行のシステムは、シカゴ、オランダ、ブラジルにある3カ所のメインデータセンターと、より小規模な複数のデータセンターに点在している。
ABN Amroとの契約の大部分を獲得したIBMは、その価値を18億ドル相当としている。IBMでは、同行のインフラストラクチャで「Universal Management Infrastructure」プログラムを用い、新たな金融製品の開発/サポートを行うため、イノベーションセンターを開設する予定だ。
一方Tata Consultancyは、2億4700万ドルの契約金を手にした。これは、同社がこれまでに獲得した最大の契約金の2倍に相当する。
Tata Consultancyで国際業務を率いるN.Chandrasekaranは、「インドには、これほど大規模な契約を獲得した企業は存在しなかった。本契約で、われわれの国際的な事業展開モデルの優位性が証明されることになる」と話している。
今回はIBMが大きな分け前にありついたものの、本契約の締結で、IBMとAccentureといった米国および欧州のコンサルティング・サービス企業や、インドのサービス企業の間において、競争が加熱する傾向が見えてきた。従来、戦略分析や複雑な技術の導入などを専門としてきた西洋諸国の企業は、最近ではみずからの提供品のサポートサービスも行うようになっている。
インド企業はこれとは反対に、コンサルティングやアプリケーション開発に参入し始めた。
「ユーザーは、当社のようなサービス企業とインテグレーターを区別しなくなった。この分野は今や、だれに対しても開かれているのだ」(Chandrasekaran)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ