IBMは、同社のメインフレームを利用する新しい顧客を獲得するため、膨大な資金の投資を行う計画だ。
その巨額の資金は「今後数年間」をかけて、顧客向けトレーニングや、ソフトウェアのメインフレーム向けチューニング、顧客のコンピューティングインフラストラクチャへの移行支援などに費やされるとJim Stallings氏は述べた。同氏は2006年1月にメインフレーム部門を統括する職務を引き継いだ。
「インフラストラクチャにメインフレームが存在すれば、その利点を理解することができる。しかしメインフレームを利用したことがなければ、それを理解するのは難しい」とStallings氏は言う。「われわれは巨額の資金を使って、顧客を支援するつもりである」(Stallings氏)
メインフレームは、その高い信頼性と高度な要求に耐え得る通信性能から、競合他社にさえも称賛されている。もっとも、メインフレームは決して安くはない。新製品「System z9 Business Class」は最低価格を引き下げたが、それでも10万ドルである。また市場ではUnix、Linux、Windowsの稼働する競合製品が非常に多く、管理者にとってもこうした製品の方が理解しやすい。
Stallings氏によると、メインフレームの潜在顧客としての第1のターゲットは、Sun MicrosystemsやHewlett-Packard(HP)のサーバを利用しているユーザーである。しかし、もちろんこれらの企業にも対策はある。「IBMのメインフレームを利用してきた顧客は、HPへと移行してきている。メインフレームの価格はもはやビジネスでは通用しないからだ」とHPのエンタープライズストレージ&サーバ部門でマーケティング担当バイスプレジデントを務めるMark Hudson氏は述べ、同社のサーバ製品ライン「Integrity」に搭載されたIntelプロセッサ技術は主流の技術であり、より低コストで利用できると主張している。
しかし、IBMはメインフレームの顧客拡大に大きな期待を寄せている。その実現を確信する主な理由は3つあると、Stallings氏は指摘する。
まず1つめに、IBMは特殊用途向けのメインフレームハードウェアを利用するメリットは大きいと期待する。これらのハードウェアとしては、Linuxを実行するIFL、IBMのDB2データベースソフトウェアを実行するzIIP、Javaソフトウェアを実行するzAAPがある。これらのハードウェアを購入すれば、より高価な汎用目的の処理能力は不要となる。
またIBMはさらなる「特殊用途エンジン」を提供する計画があるとStallings氏は明かし、その分野の例として検索、法令遵守、セキュリティを挙げた。
2つめは、IBMが従来はメインフレームが使用されなかった新しい地域への進出を図っていることである。その地域としてはロシア、中国、インドなどがあるとStallings氏は言う。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ