サン・マイクロシステムズの代表取締役会長 Dan Miller氏が11月9日、報道陣の前に再び現れた。同氏が日本法人の社長から会長となったのは4月のこと。以降、米国と日本を行き来していた同氏は、7月に日本での会長職に加え、本社のグローバルシステムズプラクティス担当シニアバイスプレジデントにも就任した。
このところ「経営不振から回復した」と報じられることもあるSun Microsystemsだが、Miller氏は「回復したという表現は正しくない。すでにSunの回復期は終わり、成長期に入っている」と強気だ。「サーバのシェアもDellを抜いて世界3位となり、四半期決算でも3期連続の2桁成長を遂げた」と好調ぶりをアピールするMiller氏に、記者たちが質問をぶつけた。
--サーバ事業が成長路線に入っている理由はどこにあるのか。
3つ理由があると考えている。毎年20億ドルをR&Dのために投資しており、良い製品を生み出す資金があることがひとつ。2つ目は、Linux、Windows、Solarisという3つのOSと、RISC、x86(AMD Opteron)という2つのプロセッサを組み合わせた幅広い選択肢を提供していること。そして3つ目は、Solarisをオープンソース化したことだ。
この3つ目の理由が一番重要だ。Linux、Windows、Solarisのうち、1社が責任を持って保証しているOSはWindowsとSolarisだけだ。この2つのうち、オープンなのはSolarisとなる。これまでオープンソース化されていて、様々な選択肢があると思われていたLinuxだが、Linux市場は混乱期にある。ミッションクリティカルな場面において、1社が責任を持ってサポートしてくれ、かつオープンソースであるのはSolarisだけなのだ。
通常ユーザーは、OSを選んだのちにプラットフォームを決める。つまりOSと結婚するようなものだ。Solarisのオープンソース化で多くのユーザーがSolarisを選択し、その上でシステムを選ぶため、Sunのシステムの売上が伸びたと言える。Solarisのダウンロード数が増えれば増えるほど、サーバビジネスの売上に結びつく。
--Linuxについてどう考えているのか。
Linuxをサポートしているのは、顧客が望んでいるからだ。エッジ部分では安価なオプションでもある。しかし、拡張性や安全性を求め、1社が責任を持ってサポートしてくれるOSとなれば、Solarisが選択されるだろう。
私にとってLinuxは、ゴルフの練習用ボールのようなものだ。練習用ボールは、安くて、万が一なくなっても惜しくはない。ちゃんとボールが飛んでほしい場合、またボールの保証が必要な場合は、Solarisを選択する。
--日本ではIntelのItaniumが好調で、Itanium Solutions Allianceなどの推進団体もあるが、これについてどう思うか。
面白い動きだが、あまり世界的には関係のないことだ。私は世界中の顧客と接しているが、Itaniumは日本以外でほとんど売れておらず、シェアも平たんか、むしろ下がっているのではないか。
日本のベンダーは、Itanium搭載システムを売る以上、顧客にItaniumをサポートしている点をアピールしなくてはならないが、プロセッサのアーキテクチャとして長期的に有効とは思えない。Alphaもいいテクノロジだったが、採用は広まらなかった。
--ハイエンドサーバおよびプロセッサの開発状況を教えてほしい。
富士通と開発中の次世代ハイエンドサーバはもうすぐリリース予定だ。2007年には、第2世代のCMT(チップ マルチスレッディング テクノロジ)プロセッサ「Niagara」をリリースする。これは8コアプロセッサだが、Intelはまだデュアルコアで喜んでいる段階のようだ。Niagaraの次の世代のプロセッサ「Rock」も設計は終わり、予定通り2008年にリリース予定だ。