カリフォルニア州バーリンゲーム発--チップメーカーは、これまでモバイルコンピューティングで学んだ教訓をサーバに適用し、消費電力の削減によりサーバ効率の向上を図ってきた。しかし、Googleの著名なエンジニアは米国時間6月23日、モバイルコンピューティングとサーバはあまりに違いすぎると主張し、チップメーカーの取り組みに冷や水を浴びせた。
Googleのエンジニアで、同社の消費電力を詳しく調査しているLuis Barroso氏は、当地で開催のO'Reilly Velocityカンファレンスで、「データセンタは、モバイルエレクトロニクスやノートPC、モバイル端末の主要な目的とは異なる機器だ」と語った。
現在Googleは、非常に多くの稼働中のサーバと複数のデータセンタを保有しており、データセンタは電気代を節約するために発電所近くに設置している。そのGoogleが、コンピューティング機器メーカーに対し、効率の向上を促そうとするのは当然のことだ。
Barroso氏は、Googleの巨大なデータセンタの上空からの写真を見せながら、「これをランドヘルドコンピュータ(土地固定型コンピュータ)とでも呼べば、おそらく彼らもわれわれの力になってくれるだろう」と冗談を述べた。
ただ、根本的な問題は、モバイル端末とサーバは活動の仕方が異なる点だ。
モバイル端末の場合、休止状態の時間が多く、稼動するときは集中的である。モバイル端末は、この特徴をうまく利用することにより改善してきた。また、プロセッサなどの他の電子機器も大半の時間を省エネのスリープモードで過ごし、必要時に起動し、最大電力需要、高性能モードに切り替わることにより、消費電力の抑制している。
しかし、Googleのサーバは正反対の動きをする。Barroso氏によると、同社のサーバは、ほとんど常に適度な量の作業をこなしており、動作がピークに達するフル回転状態や完全な休止状態はまれであるという。これは、4種類の異なるGoogleアプリケーションを実行しているおよそ5000台のサーバの測定結果を基に弾き出した、と同氏は付け加えた。
Barroso氏によると、Googleのサーバが完全なスリープ状態になることはありえないという。同氏は、「(各サーバが)完全なアイドル状態になることはめったにない」とし、「サーバが実際に何もしていない時間はごくわずかだ」と付け加えた。
よってGoogleは、電子機器の設計者らに対し、機器の動作が減少すると消費電力も大幅に低下する製品の開発を促している。サーバは当然、活動のピーク時に消費電力もピークに達する。しかし、問題は全く活動していない時でも、ピーク時のおよそ半分の電力を消費してしまう点だ。
プロセッサは、常に多くの電力を消費しているといういわれのない批判を浴びてきた。かつてDigital Equipmentのチップ設計者だったBarroso氏自身も、そのような懸念を表明してきた。しかし、チップは実際には、低動作時に電力消費を抑えるという点では、ハードドライブやメモリ、ネットワークアダプタよりも優れている。
例えば、一部の高性能ハードドライブは、低動作時に回転速度を下げて消費電力を抑えられる。しかし、読み書きをするために、「ハードドライブは回転数を上げなくてはならない」と同氏は述べ、一方でプロセッサは、低動作モードでもデータを処理することができると語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ