Advanced Micro Devices(AMD)は米国時間9月29日、前世代の誤りを解消した次世代チップ「Shanghai」を発売することを発表した。
市場2番手のプロセッサメーカーであるAMDには、はっきりさせたいことが1つある。Shanghaiは「Barcelona」(正式名称「Opteron」)ではないということだ。Barcelonaは2007年9月に鳴り物入りで発表されたが、製造上の問題とバグにより、8カ月もスケジュールが延期された。また、速度(コアクロック周波数)の限界もネックになっていた。
AMDのサーバおよびワークステーション向けチップ事業部門ゼネラルマネージャーであるPat Patla氏は、「Barcelonaを市場に投入する際はいくつか誤りを犯したため、Shanghaiではできるだけ速度を実現しよう思った。われわれは失敗から学んだ。そして、企業として、同じ失敗は決して繰り返さない」と述べた。
サーバ向けのShanghaiはAMDの初の45ナノメートルプロセッサになる(Barcelonaは65ナノメートル)。一般的に、形状が小さくなればなるほど、チップの速度、電力効率は高まる。Intelは2007年から45ナノメートルプロセッサを出荷しており、現在ではIntelが提供しているプロセッサの大半を占めている。
AMDはShanghaiを成功させる必要がある。同社は相次ぐ損失でぐらついており、大規模なリストラを発表する一歩手前にある。投資銀行Collins StewartのアナリストであるAshok Kumar氏は、「利益を回復させるには、サーバ製品ラインの業務遂行は極めて重要だ。AMDの利益源はサーバ製品ラインしかない」と述べた。
このため、AMDは、Shanghaiプロジェクト全体を引き継ぐリードエンジニアを指名し、「シリコンの品質、シリコンの日程、シリコンの信頼水準」に対する目標を制定したと、Patla氏は述べた。「早い時期にさまざまな検証を行えるように、パートナーに手渡す製品にはかなりの安定性を持たせる」必要があったという。
結果として、Shanghaiのスケジュールは短縮された。「当初の計画では、Shanghaiは2009年第1四半期に発売される予定だったが、2008年第4四半期に前倒しすることができた」とPatla氏は述べ、製品が第4四半期に発表されるだけでなく、ベンダーのサーバの出荷も第4四半期に行われると付け加えた。
「現在、工場でフル生産しているところだ。ごく近いうちに、最初のチップをお届けできるだろう」(Patla氏)
Patla氏は、Shanghaiは「非常に電力効率の高い製品」であり、小さい45ナノメートルプロセスのおかげで「(クロック)周波数が極めて高い」ため、Barcelonaをはるかにしのぐ性能を発揮すると断言した。
同じ周波数(速度)であれば、Shanghaiの性能はBarcelonaよりも約20%高くなると、Patla氏は述べる。
また、AMDは、一般的にパフォーマンスを高速化するキャッシュメモリのサイズを2Mバイトから6Mバイトに拡大する。
Patla氏は、「われわれは『HT3』(HyperTransport 3)の使用も開始しており、第1四半期中にはパートナーによる検証が開始されるだろう」と述べた。HyperTransportはIC間の高速通信を実現するリンクテクノロジだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ