メインフレームやデータベース、ネットワークの速度などを定量化することと違い、インフォメーションワークを定量化することは難しい。これは、インフォメーションワークの定量化が人の感覚的な側面に依存するためだ。
9月4日に開催された「ZDNet Japanソリューションフォーラム2007 〜サーチテクノロジからはじまるエンタープライズ2.0」では、「本当に必要なデータはどこに? データから読み解く理想のインフォメーションワーク」をテーマに、マイクロソフト ソリューションセールス統括本部 Office Systemソリューショングループ マネジャー、澤円氏がデータが示す情報活用の現実について講演した。
澤氏は、「電子メールが登場したときに、“メールと電話ではどちらが優れているのか”という議論があった。メールと電話を同じ土俵で比べることは困難だ。インフォメーションワークの可視化もこれと同じ。そこで、インフォメーションワークを可視化する場合には、いくつかの軸を明らかにすることが重要になる」と話す。
マイクロソフトでは、個人と組織を縦軸に、業務非依存と特定業務を横軸に、インフォメーションワークを可視化するためのさまざまな調査を実施している。澤氏は今回、「ワークスタイル成熟度調査」および「IndividuaL Productivity Assessment(IPA)」の調査データに基づいて、理想のインフォメーションワークについて紹介した。
ワークスタイル成熟度調査は、日本能率協会研究所とマイクロソフトが共同で実施しているホワイトカラーの通常業務の実態を可視化するための調査。500名以上の企業を対象に、2003年より毎年1000名以上のデータを収集することで実施されている。
調査は、「できているがもっと良くしてほしい」「できているので現状でよい」「できていないので実現してほしい」「できていないが現状でよい」の4者選択で行われ、ダイヤモンドチャートにより可視化される。
たとえば、「顧客情報はシステム上に検索可能な状態で共有されているか」とか、「意思決定に必要な情報をすぐに見つけ出せるか」「業務報告は必要な権限内で誰でも検索できるか」といった設問では、多くが「できているので現状でよい」と答えている。