Microsoftは、今週開催予定のMIXカンファレンスにて、次期ウェブブラウザ「Internet Explorer 8」(IE8)の正式リリースを行い、大きな話題となりそうだが、同時に、Adobeの「Flash」に対抗する、次期バージョンの「Silverlight 3」についても、情報公開がなされる可能性がある。
すでにMicrosoftは、IE8の正式版に近いリリース候補(RC)版を発表しており、ラスベガスで米国時間3月18日よりスタートするMIXカンファレンスにて、大勢のウェブ開発者を前にして、IE8の正式リリースが行われるのではないかとの期待が大いに高まっている。Microsoftは、2008年のMIXカンファレンスで、IE8の初のパブリックデモンストレーションを公開した。
IE8には、プライベート閲覧モードや、お気に入りの情報の更新内容を確認できるWebスライス、ウェブ標準のサポート向上など、多くの新機能が実装される。
IE8の正式リリースは、ウェブブラウザ市場の競争が激しさを増す中、行われることになる。Microsoftは、ブラウザ市場における(IEの)シェア低下を目の当たりにしており、GoogleやAppleのブラウザとの速度比較において、多くのネガティブな評価にさらされてきた。Microsoftは先週、ややJavaScriptエンジンこそ遅いものの、全般的にIE8が、多くのウェブページの読み込み速度で、依然として高速であることを実証する動画を公開することまでした。
Silverlightに関しては、Microsoftは、いくらか新機能を追加し、大型の提携発表などを続けている。だが、AdobeのFlashも、米大リーグのデジタル部門であるMLB.comとの提携など、大物との新提携を加速させており、普及率の分野で優位性を維持し続けている。
Microsoftは、クラウドOS「Windows Azure」のロードマップに関しても、新たに詳細を明らかにするのではないかと期待されている。Windows Azureは先週末、ほぼ終日のサービス停止に追い込まれ、初の大トラブルに見舞われた。
Microsoftは、2008年10月のProfessional Developers Conference(PDC)で、Windows Azureを発表した。いまだMicrosoftは、Windows Azureの課金について、詳細を明らかにしていないものの、この点に関しては、今回のMIXカンファレンスでも、正式な発表は見送られそうだ。
筆者は個人的に、マルチタッチ分野でも先駆者となる、Microsoftの研究者Bill Buxton氏からのコメントを楽しみにしている。Buxton氏は、同氏がMicrosoftに入社して以来、社内に浸透させるべく努力を傾けてきた、テクノロジ分野でのデザインの重要性について語ることになっている。
筆者は、これまでに1度、先日のMicrosoftのTechFestイベントにて、Buxton氏と話す機会があった。Buxton氏は、3年前にMicrosoftに入社した頃は、難題に取り組まねばならなかったことについて話してくれた。当時、Microsoftの上層部で、デザイン分野のバックグラウンドを持つ人物は、Buxton氏だけであったという。
Buxton氏は「デザインなど、MicrosoftのDNAには含まれていなかったのだ」と語っている。しかしながら、Buxton氏は、「Microsoft Arc Mouse」を例に挙げつつ、デザインを前面に出す点でも、Microsoftは一層の進歩を遂げることができると強調した。
そもそも、Buxton氏がMicrosoftに魅せられるきっかけとなったのは、まだMicrosoftがデザインに重点を置きかねているという実態でもあった。Buxton氏は「自分の持つスキルを発揮できるような場所を、人は求めるものだ」と、筆者に話してくれた。Buxton氏は、単に自分が「喜んで志を貫くつもりである」ことを強調したかったのだ。同氏は、Microsoftの最高経営責任者(CEO)であるSteve Ballmer氏も、デザインの分野で確かに改善を図っていきたいと願っていることを語ってくれたと明らかにしている。
とはいえ、Buxton氏は「大きな企業が一夜にして変化を遂げるのは難しい」と述べ、まだその努力が成果を見るには、時間もかかると考えていると語ってくれた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ