Googleが、同社のデータ開放プロジェクトに近く2つの製品を新たに追加する。ユーザーは自分のデータをどこでも使えるべきだというコンセプトに、さらなる注目を集めたい考えだ。
併せてGoogleは米国時間9月14日、「Data Liberation Front」(DLF)の取り組みを紹介するウェブサイトの開設を発表した。
DLFは、少なくとも2年前から存在するGoogleの社内グループだ。その名前は、英国のコメディユニットMonty Pythonの傑作映画「モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン」に登場する反ローマ帝国の抗議団体の1つ、「ユダヤ人人民戦線(Judean People's Front)」にちなんだものだという(厳密に言うと、主人公のBrianが参加するのは「ユダヤの人民戦線(People's Front of Judea)」なのだが)。DLFの目的は、Googleの製品およびサービスのユーザー向けに、データを標準的な形式でエクスポートしやすくすることだ。
Googleは同社の有名なスローガン「Don't Be Evil(邪悪になるな)」の延長として、2007年からこうした取り組みを行ってきた。その一環として、シリコンバレーの伝統的なビジネス戦略である「囲い込み」(lock-in)の回避に努めている。「自社の製品を見てみたところ、外へ出るドアに鍵はかかって(locked)いないが、少々『ふさがって』いる場合があることに気付いた。そこで、これを改善しようと考えた」と、Googleは今回開設したウェブサイトDataliberation.orgのFAQで述べている。
もちろん、こうした発表の背景には、Googleが収集し体系化しているデータの量にユーザーや政府が警戒心を抱くようになり、2009年に入って米国や諸外国で同社に対する監視の目が厳しくなっているという事情がある。「Book Search」訴訟での著者や出版社との和解に対する批判の中でも、特に白熱した物議を醸したのは、ユーザーの検索履歴をGoogleがどのように取り扱うかといった、プライバシーに関する懸念だ。
したがって、ユーザーのデータを難攻不落の要塞で取り囲む気がないことを示せるなら、Googleはどんなことでもするだろう。しかし、これはインターネット企業全体に関わる業界レベルの問題だ。たとえばFacebookは、「Facebook Connect」を導入する以前、Facebookのデータをサイト外にエクスポートするのが困難だとして、これを問題視するユーザーから非難を浴びていた。
問題を厄介にしているのは、利用者がとにかく多いため、これらのサービスに保存されている個人データは、ユーザーにとっても企業にとっても、より大きな価値を持つという点だ。そのため企業としては、可能な限り巨大なネットワークを構築し、一度移ってきたユーザーはつなぎとめたいと考える。
Googleの2つの製品「Google Docs」と「Google Sites」は近々、同社が「開放した」製品の仲間入りをする見通しだ。ユーザーは、Google Docsで作成したファイルのバッチエクスポートが行えるようになる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ