2010年の有望ビジネス--こんな仕事にチャンスあり?

文:James Urquhart(Special to CNET News.com) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子

2010-01-04 07:54

 筆者は2008年1月、年頭記事を執筆するにあたり、ありきたりの「予想記事」は書きたくないと思いながら頭を悩ませていた。そして最終的に書いたのが、当時新たに登場しつつあったクラウドコンピューティングが花開いた暁に創出されるであろう7つのビジネスについて、ユーモアを交えて解説するという記事だった。今になってこの記事を読み直してみて、採り上げたビジネスのほとんどが(すべてではないとはいえ)、かたちこそ異なるものの2010年にも出現しそうだということに驚いている。

 以下に2008年の記事の内容を再掲載し、それぞれの項目に2010年版の注釈を追記する。

#1:SaaSとエンタープライズアプリケーションの間でのデータ変換ビジネス

 既存のエンタープライズアプリケーションから、近頃流行している新しいSaaSツールに乗り換えようとした場合、データの移行が必要になる。そして乗り換えてはみたものの、そのSaaSベンダーとは付き合いきれないという結論が出た場合、また同じような移行コストをかけて他のベンダーのサービスにデータを移行する羽目になる。ひょっとすると、SaaSに嫌気がさし、従来のエンタープライズアプリケーションに回帰するということも考えられる。ぼろもうけだ。

 この項目では、SaaSにおける選択肢のほとんどがプロプライエタリな(あるいは、オープンソースの場合であれば「単一のプラットフォーム」を用いた)データベーススキーマ上に構築されているという残念な事実を浮き彫りにしていた。この事実に目を向けるだけでも、高度にカスタマイズされた社内人事アプリケーションから企業データを取り出してクラウドに移行する、あるいはクラウドをあきらめて元の状態にデータを戻すには、高度な技術スキルが必要になるということを理解できるはずだ。筆者は現時点でも、こういった移行ビジネスが、特に企業運営と切っても切り離すことのできない人事や財務といった分野において、システムインテグレーターにとっての大きな収益源になると考えている。

#2:EIaS(Enterprise Integration as Service:サービスとしてのエンタープライズインテグレーション)

 どれほど豊富な機能を提供しているSaaSベンダーがあったとしても、ただその1社を利用するだけで済むということはあり得ない。必ずインテグレーションというものが必要となるのである。しかし、そういったインテグレーションはどこで、どのようにして実現されるのだろうか?こういったことを考えれば、ブラウザベースのインテグレーションという道を選び、成功を目指すしかないだろう。Force.comやMicrosoft、Google、Amazonなどが提供しているサービスよりも安価かつ高速で優れたものを実現する方法を考え出せばよいだけだ。

 EAI(Enterprise Application Integration)をクラウドで実現しようという優れた取り組みは既にいくつか存在している(例としてBoomiを挙げることができる)一方、2010年中にはIBMやMicrosoftといった企業がこの分野に進出を果たすことになるだろう。また、AmazonやSalesforce.comが何らかの動きを見せたとしても筆者は驚かないだろう。この分野の重要性を考えた場合、いつまでも無視を決め込んでいるわけにはいかないはずだ。

#3:SaaS料金おまとめサービス

 上記2番の項目で述べた問題を考えた場合、請求書が5つ、あるいは6つものベンダーから送られ、ベンダーをまたがったトランザクションコストが追跡できないような状況を良しとする人などいるだろうか?こういったことを考えれば、ベンダーからの料金請求を一元管理し、コストと収益の内訳をベンダーごとに分類、分析する機能を有した課金サービスを提供するのがよいだろう。そして、ベンダーによって生み出された所有権の壁(下記4番の項目を参照)から自らを守るための準備も整えておこう。

 このサービスは、本記事で採り上げているビジネスのなかで、2010年に提供される確率が最も低いものだろう。とは言うものの、この項目で述べている問題が一般にも認知されつつあるという兆しが見え始めている。あなたのアプリケーションのフロントエンドがGoogle App Engine上で稼働しており、ビジネスロジックがForce.com上で、そしてデータ解析がAmazon Web Services上で稼働している場合、そういったアプリケーションのコストを単一の請求書で管理する方法はあるだろうか?こういったサービスを考えた場合、筆者は通信会社に分があるはずだと思っているものの、彼らは未だそのことに気付いていない様子である(関連英文記事)。

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