「Firefox 3.6.4」(開発コード名「Lorentz」)は、メジャーアップデートのように思えないかもしれないが、この最新版はMozillaのブラウザにとって重要な新機能を初搭載している。「Windows」版と「Linux」版がリリースされたFirefox 3.6.4には、待望のプラグインの別プロセス化機能(out-of-process plug-ins:OOPP)が含まれる。OOPPは、特定のプラグインがクラッシュしても、ブラウザ自体が終了しないようにする実験的な機能だ。今回の初実装では、Adobe Systemsの「Flash」、Appleの「QuickTime」、Microsoftの「Silverlight」がクラッシュした場合に、ブラウザ全体が不安定になるのを防ぐ。
「Mac OS」版Firefox 3.6.4は、脆弱性は修正されているが、OOPPをサポートしていない。MozillaはFAQ(よくある質問)のページで、OOPPをMac版Firefoxで稼働させるにはブラウザの「大幅な変更が必要」で、2010年後半にリリース予定のメジャーアップデート「Firefox 4」でOOPPを搭載する見込みだと述べた。
OOPPは、少し違う形でだが、かねてから「Google Chrome」の重要部分となっている。「中断されないブラウジング」体験を可能にすると宣伝されているFirefoxは、特定のプラグインにのみ関係する点でやや異なる。口語表現で同じ意味で使用する人もいるが、プラグインは拡張機能やアドオンと同じではない。プラグインは、メディアの再生や、そのままでは表示できない画像の表示など、特定の機能をブラウザが実行するのを助ける特殊なアドオンを指す。
したがって、Firefox 3.6.4では、プラグインがクラッシュした場合には、ページのプラグインコンポーネントのみ使用できなくなる。これが、Google Chromeと違う点だ。Google Chromeでは、プラグインがクラッシュすると、ページ全体が、クラッシュの発生を示すアイコンに代わる。OOPPのないFirefoxでクラッシュするとブラウザが丸ごと終了するが、Mozillaは、新機能のOOPP導入によりブラウザのクラッシュが大幅に減少するとみている。
OOPPには、プラグインのアップデートが必要になると、Firefox 3.6.4ユーザーに自動通知する機能もある。プラグインの状態を把握していないユーザーでも、Mozillaが新設したウェブサイトを利用すれば、プラグインを自動スキャンし、アップデートが必要なプラグインを知り、自分に合ったダウンロードのリンクを提供してもらえる。
一時期、Firefox 3.6.4はOOPP機能を搭載せずにリリースされると思われていた。セキュリティ上のリスクが考えられたため、2010年6月初旬という当初予定されていたリリース日に公開することができなかった。Firefox 3.6.4では、重要な脆弱性の修正4件と、バッファオーバーフロー、整数オーバーフロー、プラグインでの解放済みオブジェクトの再使用、メモリ破壊に関係するマイナーな修正数件も行われている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。