NTTデータは10月1日、ソフトウェア工学に関連した研究開発組織を再編成、推進体制を強化したことを発表した。同社の中期経営計画での改革方針である「開発プロセス変革」の取り組みを加速させる。
注目されるのは、要求工学への取り組みと、設計とテストを並行的に進めるエクストリームプログラミング(XP)的な取り組みも展開することだ。
ソフトウェア工学推進センタに社内の関連組織を統合し、現在の40人体制から100人を超える体制に強化する。これまで要求工学や人材育成などの面で業界活動を中心に実施してきた技術開発本部ソフトウェア工学推進センタ(約40人)に、開発プロセスの体系化と社内への普及展開を中心に活動してきた基盤システム事業本部システム方式技術ビジネスユニットの一部(約50人)、技術開発本部SIアーキテクチャ開発センタの一部(約10人)を統合させた。
統合されたソフトウェア工学推進センタは、ソフトウェア開発の抜本的生産性向上を目的に、NTTデータグループ全体として統一された開発メソドロジーを中核として、ソフトウェア工学全般で開発から普及展開まで実施する。社外ではソフトウェア開発プロセス、生産技術、人材育成での業界貢献を実施していくとしている。重点施策は以下の通り。
- 全社統一の統合開発メソドロジーの策定
- 統合プロジェクトマネジメント環境の整備
- フレームワークの整備・拡充と開発環境の整備
- 試験プロセスの改善
- 要求工学
- ソフトウェア工学教育の実践
- 開発プロセスの見える化
今回の取り組みで特に強化するとしているのが、試験プロセスの改善と要求工学と説明している。
試験プロセスの改善では、先進的な取り組みとしてシステムの設計と同時に試験の設計を行う「Wモデル」と呼ばれる試験プロセスの導入を推進する。これは、試験について高度な専門知識を有する試験専門チームが、設計工程で設計と並行して試験の準備を実施し、工期短縮と品質向上を実現するという取り組みだ。
要求工学では、営業・企画工程においてすでに適用実績のあるウェブシステム開発総合ソリューションである「TERASOLUNA」のビジネスモデリング方法論「MOYA」と「ビジネスデザイン方法論」、IT戦略モデリング方法論の「Biz-Alive!」とエンタープライズアーキテクチャ方法論「EA2.0」など同社が確立している各種方法論の連携と実プロジェクトへの適用を進めていく。外部設計書を対象にSIベンダー9社で検討している「実践的アプローチに基づく要求仕様の発注者ビュー検討会(発注者ビュー検討会)」の活動も継続していくとしている。